四月三〇日(日)どうにか天気も持ちこたへ今期最後の10kmレース競走出場を決めいざ向かう。尖沙咀のバス集合地点にてN氏と遭ひたり。大尾督の貯水に行き着けば陽光、湿気はあれど暑さ競走に響きたり。10キロを54分にて完走、暑さ極めて余を疲労さす。バス乗り場にてK氏なる衣笠似の日本人に遭いN氏と一緒タクシーにて同乗。マクマホーストレイル100kmを踏破すらする壮年にて、香港明走会への紹介をK氏に託す。百年ぶりに厨房に立ちたり、蝦と烏賊にてパスタ作りしが百年で勘鈍り落胆。新之助、五月は源氏物語にて源氏、成田屋の源氏といわば十一代目だが、この源氏は瀬戸内寂廰に新作、海老蔵襲名も再来年と決定か。

四月二十九日(土)豪雨。ハッピーバレーにて馬券購い、ジム。帰宅して競馬電視中継。香港競馬はベシル・マーカスが今季で引退。

四月二十八日(金)雨。文楽の吉田玉男が一世一代で五月、国立劇場にて先代萩の政岡、絵本太閤記の光秀。

四月二十七日(木)小雨。

四月二十六日(水)雨。渣打銀行にてG嬢と面談。預金のポートフォリオで余りに現金(定期)の比重が多きすぎる、これでは投資バランスが悪く、あまりに保守的すぎる、と諭される。木製ケースやポラロイドの写真機など貰う。そんな景品は要らぬからきちんと投資の舵取りをせよ、と願う。競馬はけっこう予想した大穴が入賞するがQPで買っているため一向に当らず。惨敗。『太陽』を見ていてConway Stewart G8 が復刻されていて、そでも一五万円ではちょっと手が出ない(ニチユー電話03-3843-6431)。

四月二十五日(火)雨。

四月二十四日(月)曇。四連休土曜日の午後を除き雨ばかり。週刊香港の原稿、上海好好小食。ジムに行くついでにバンクオブアメリカの地階の床屋を覗くと休日だというのに営業しており散髪。最近ヘアドゥにて散髪していたが美容師N君が日本に帰ったのと、そのあとのF君が二度も予約を日本に急な出張と外され、心外。いい理容師に当る。ジム終わりHMW。映画『非情城市』のVCD。ビル・エバンズの"Portrait In Jazz"と"Explorations"の二枚。マイルスの"In A Silent Way"も。Brezelに一杯のみ飲んで帰宅。トマトのパスタ。伊のSan VincenzoはAnselmi1998。なぜか昨年末の紅白のビデオ。勘九郎の司会を見て、『浅草パラダイス』の時も思った勘九郎の口跡の悪さを痛感。口跡が悪いというより気ばかりが先にいってしまい口がおいつかない……あ、つまり口跡が悪いのか(笑)。そのうえ白組が勝ったと興奮する様はあれが大看板となる役者の様かと落胆。SMAPの中居君とかのほうがよっぽど大物である。

四月二十三日(日)夜半暴風雷雨。起きると黄雲だったが夜半は黒雲警報であったと知る。新聞読み溜まった雑誌整理。科学館にて宝田明と尤敏主演の東宝映画『香港の星』(1963年、千葉康樹監督)。ストーリーはどうでもいい純愛悲劇だけれども、あの時代にシャアシャアと民族、歴史問題を勝手に垣根越しにこの純愛モノをつくった楽天さ。それにしても商社マンが純愛映画の主人公になりえた点は過去の栄光。でも海外出張の帰りにそのまま銀座のバーに現れ、出張を名目に新加坡、クアラルンプールにまで女をおいかけ、映画とはいえこの姿が後来の商社の凋落の原因か。仕事してない点が実に正しい描写。大雨の下、徳發で牛南麺。爆チュー問題のポンキッキーズ見る。武谷三男といってももう誰も知らないか……逝去。

四月二十二日(土)曇のち晴。午前中競馬予想新馬短途。文化中心で『失憶星期一(Monday)』サブ監督。筒井康隆がすでに使い古したような展開だが、不条理で攻めるべきところを「銃を捨てよ」的な正真正銘のメッセージがあらわれてしまった。どうせなら厳重に包囲されたホテルから大駱駝艦演じる妖怪たち(幻想)を従え警察の包囲を抜けてそのまま地下鉄への地下道へでも去らすべき。そうすれば『Tuesdau』も撮れたろうに。堤真一は好演。監督サブ氏と堤氏、来港。会場での態度に大物ぶり発揮。天星小輪で灣仔(この航路なんと処女乗船)。芸術中心で李纓監督の『流亡将軍』。馬晋三なる1902年に雲南は大理で生まれ1921年より大日本帝国陸軍士官学校に留学、その後、孫文の参謀となり北伐、抗日戦では工兵総司令、国共内戦時の交通部代理部長まで勤めた馬将軍、蒋介石と台湾に渡らず香港を経て日本に亡命。東京のマンションでの二十世紀末の晩年を撮ったドキュメンタリー。秀逸。過去をいっさい語らせなかったのが凄い。これを見て松江君の「語らせてしまった」手法に対して、出演者が自然と語るのを眈々と記録するドキュメンタリーの手法を見た気がする。松江君が悪いわけではない。松江君の作品の場合、彼が疑問提示しないかぎり誰も語らないのだから。でもやはりドキュメンタリーとしては『流亡』のほうがずっと上。

四月二十一日(金)雨。風呂場の電球がつかない時が多いので開けてみると台座が古いもので接触が悪くなっていたので早速修理。天井についた照明の止め方、勉強になる。五金屋の女房曰くウチのはすでに規定外となった危険なモノなのだそうな。蛍光灯も修理。尖沙咀の南亜餐廰にて海難鶏飯。香港映画祭にて『安寧キムチ』。監督の青年、松江君来ているが、やはり映画学校の卒業制作の域は脱しておらず、松江君のキャラクターかほのぼのと映しているとはいえ、それじゃなんなのか、というと映画的な芸術性でもなければドキュメンタリーでもなく、ほのぼのとしたビデオでのアイデンティティの探求。それを作品としてカネをとって見せるところが難。

四月二十日(木)快晴。

四月十九日(水)快晴。野坂昭之が朝日に石原慎太郎都知事の差別的、ファッショ的言動に対して都知事を辞め作家に戻れと書く。名月。

四月十八日(火)快晴。ジム関係日本人で柳生。セットメニューはいいが、デリカシーのないサービスで余裕というものがなく、こんな店潰れると思いきや、消防法などやビルの老朽化で店を閉じることがすでに決まっているそうな。合点。とにかく寂しい接待の店。だいたい客がビールを飲んでいても茶を注ぎ続けるなんて最低。もうサービスなどという感覚がなく、ただ時間を過ごしているだけの寂しさ。

四月十七日(月)快晴。

四月十六日(日)快晴。橘屋の潔子さんより電話が昨晩あり、朝、軽食でも、と誘われリージェント。節制した潔子さん、七月に新光劇院で粤劇に出演で今回はその打ちあわせ。沙田に競馬。エリザベス女王杯で本来Jim and Tonicありきで、しかしこれを二着の軸馬に据えて、冷静にこれに勝つ馬を考えれば實業家であろうに、そういった分析もできず、まったくカンが働かず早退。

四月十五日(土)曇のち晴。NY市場が大暴落。

四月十四日(金)雨。赤雲警報。窓から見ても嵐の前なのか後なのか静寂。『ライ麦』ようやく読了。

四月十三日(木)雨。市大会堂にて香港映画祭『有時跳舞(The Island Tales)』關錦鵬監督。南Y島を舞台に感染病でこの島に禁められた人々の物語。桃井かおりと大澤隆夫。役者も悪くない、撮影も照明もじゅうぶん、ただしホンがイマイチ。岩井俊二がやればもっといいはず。安部公房もヘミングウェイも読んだはず、でも何か足りない物語。天星小輪で尖沙咀。Z嬢より電話あり海南島へと出向するK製鉄のチチ氏、明日まで香港とのこと。夜、Z嬢に電話するとチチ氏夫妻と蘭桂坊アメリカンパイでデザート中とのことで途中参加。チチ氏が今ではマラソンランナーと知る。

四月十二日(水)競馬場。久々の臨場。県人会でN火災K氏来られずM氏、同僚のK氏。不調。かすりもせず。

四月十一日(火)ハッピーバレーの日本料理屋慕情の開店十周年。振るまいの樽酒。

四月十日(月)曇。電脳の網がつながらず、たかだかそれだけのことなのにそうなると自律神経が失調するのはどうしてか。完全なる電脳依存症である。佐敦阿龍で牛舌カレー。牛舌はあまり美味でもなし。

四月九日(日)晴。有線電視で『男はつらいよ』最終から三作ほど前の作品。昼になり山頂を走る。有線電視で小津安二郎の『浮草』。鴈治郎と杉村春子、大人の世界。あきらかにこの作品が『男はつらいよ』に与えた影響は大きいと思った。続けて『香港パラダイス』なる駄作、途中で断念。小林薫はいい役者なのになんでこんなのに主演しているのか。

四月八日(土)曇。年に一度のハッピーバレーの夜競馬。予想もしておらずぼんやりとテレビ観戦。第8レースで余健雄の騎乗するFeel Legendのきあひに惚れ電話で50ドルの投資。見事に鼻差で快勝。見事。英国のグランドナショナル大障害の中継。パビリオンなる馬が一着。それにしても過酷で残酷、だからこそ醍醐味もあるレースに圧倒される。

四月七日(金)曇。HMWにてコルトレーン、Youssou N'dourなどのCD。京香楼にて仕事関係の晩餐。

四月六日(木)曇。

四月五日(水)曇。小渕の後継は森、アホか、ほんま。

四月四日(火)曇。清明節。蘭芳園にて猪八飽、至極。夕方、雲寶道を走る。キャビア食しシャンパン。小渕内閣総辞職。

四月三日(月)大雨。朝刊に首相の小渕君脳梗塞の疑いで緊急入院という報道。昨日の未明のことで情報公開まで二十二時間かかるとはこれは中国共産党だ、まるで。しばらく休養すれば復帰かと思えば、夜になると、昏睡状態が続いており、すでに自民党では森君を後継者として調整に入っているとか。小渕君、中曽根君が今となっては立憲政治家とすら思えるほど日本の憲体を愚弄したが、この脳卒中は天誅か。

四月二日(日)曇。H家と午後南Y島に行くこととなり昨日宅配をAdmartに注文したシャープの除湿機が今日の夕方配達予定だったのでそれを明日にでも変更しようとすると、なんとクレジットカードでの支払いの関係で一旦この注文を取消しして、その額は二十一日後にクレジットカードに払い戻され、注文は再度行いその額をクレジットカードから支払うという。要はたかだか配達日を一日ずらすだけで二度支払い、一度目分の払い戻しを待つというわけだ。とにかくそれに従って明日の配達を待つことにしたが、ふと気になったのはもし先方に連絡もせず不在した場合も同じことをするのか、ということ。再度電話するとなんと不在した場合はその注文を取消しなどせず再度配達を設定するだけだという。当然支払いは一度発生するだけ。この不公平に対して会社としての説明を求める。暫くして返答あり、この不公平の是正は会社として検討する、と。すでにチャージされた金額についてはもう取り消せないが一週間以内に払い戻すことで了解してほしい、と。午後一時すぎH家と中環のフェリーピアで待ちあわせ南Y島容樹湾。尾根を歩き索古湾。百年一日の如く天虹酒家。

四月一日(土)雨。益新にて亀有キャバレー好きドイツ人H一家と晩餐。帰宅して『ライ麦』。