乾 坤容我静 名利任人忙
(旧)教育基本法(1947〜2006) 改正に反対した文化人129 名の声明 憲法改正反対(九 条の会こちら

また眞理を知らん、而して眞理は汝らに自由を得さすべし。ヨ ハネによる福音書8章32節)

メ ディアはコミュニケーションの道具という素朴なイメージがあるが、もっともこの言葉は「中間」という意味であり、二つのものの間を取り次ぐという意味で はコミュニケーションの道具となるが、同時に最初は一つであったものを二つに分けるという効果ももたらす。メディアは、それがもたらす情報を共有し仲間意 識を持つグループと、そうしたものに無関心、あるいは反発するグループとの分裂をもたらす。メディアが発達すればするほどこの分化は進む。だから、メディ アの発達がコミュニケーションを豊かにするというのは幻想にすぎない。(佐藤卓己)

■ 富柏村の一連の写真画像はこちらで ご覧になれます。
■ 「はてな」の富柏村日剰・香港日記(テキストのみ)はこ ちらを ご覧 ください。

■最近のブログ化のご時世に敢へてブログ化せぬ日記を。の 心づもりでをります。敢へて全て讀むこと強ゐる日剩あつてもいゝのでは?と。
讀みにくいこと間違ひなきサイト乍ら今後とも御贔屓の程宜しくお願ひ申し上げます。
■香港の高級紙「蘋果日報」からの紙面、寫眞の無斷借用多し。同紙社主・黎智英氏自ら同紙の無斷借用轉用大歡迎と公言ゆゑ、それに甘えてをります。
2000 年11月24日からおそらくあなたは番目の閲覧者です。

五月卅一日(土)東京愛宕より来港中で今日の午前便でバンコクに発つT氏とお会ひする時間とれず朝の七時にT氏投宿のホテル日航香港に伺ひ朝食をご一緒し て情報交換。銀行の用事済ませ一昨日よりの喉の痛み で昨日はかなりガラガラ声、陋宅近隣のC医師の診断請ひ医薬いただく。週末なのになんだかんだと打合せだの用事済ませ早晩に太古城。一時間半ほどDeli Franceで週末の新聞読み。Z嬢とUA戯院で珍しくも大型娯楽映画『インディ=ジョーンズ』の新作“the Kingdom of the Crystal Skull”看る。相変はらず「米国人つて凄いな」の一言に尽きる。他者なる文明、宗教の冒瀆、偏見に基づく大騒 ぎ。でも、それも古代文明の誇大神話に基づきアクション巨編も電力以前のクラシックさに基づくところがインディ=ジョーンズの娯楽映画としての面白さ、と 思つてゐたが、この新作は1950年代後半で敵はスターリンのソ連、インディ=ジョーンズの世界も電化されたが、まさか(……以下、映画の終盤のネタ晴ら しあり)人類学者の古代文明探索冒険に宇宙人とUFOが登場しようとは……。で最後は数十年前の恋人との再会と冒険供にした青年がジョーンズ教授の実の息 子で教会で結婚式を挙げてのハッピーエンド。海外で勝手に大騒ぎして最後は小市民的な家庭愛に落ち着く、といふ実にブッシュ的な世界。娯楽商業映画ゆゑ観 衆の不躾は覚悟してゐたが背後の家族連れのガキが五月蝿いのは娯楽映画ゆゑ問題ないが家族の座る列を歩き回り鬱陶しい。それを他の客に迷惑と注意せぬ親の 道徳観の欠如。映画跳ね「食の孤島」太古城ゆゑ回転寿司に食し帰宅。
▼先日のFT紙に続き今度はロイター電で“Waiting in the wings to be Japan's first female PM”と小池百合子首相待望論の記事あり(SCMP紙)。着 々と外電で外堀埋め外ウケ悪い麻生君への対抗か。それにしても小池先生の
I don't have money and I'm not a thoroughbred. I'm not the grandchild of a prime minister.
つてコメント。ないない尽くしで消去法で「アタシだけ」つてアッピールは鳥渡、ねぇ……。なにせ“Japanese economy slowing”(FT紙週末版一面トップ)と沈みゆく経済大国日本で保守党の指導者としてサッチャー的な役割が出来る器かどう か。
▼中国側の対台湾対応窓口の国務院台湾事務弁公室(国台弁)の主任に外交部副部長(外務副大臣)兼外交部党委書記の王毅氏が就任の由。知日家の駐日前大使 なら台湾人とも息が合へば、の期待かしら。

五月卅日(金)昨日のホテルで本日は午後に会合あり。客と朝ほんの十数分の用事あり自動車を鳥渡、停めさせておくれ、と請ふたら会合担当者曰く「有料で す」。「会合時間内なら」数台なら無料の優待あり、は 先刻承知だが午後は駐車の予定もなく、朝のホテルの車寄せが混むのは解るが、これくらひ良からうものを。ホテルは基本的にホテル施設利用なら駐車無料。料 金は「ホテルをタダで駐車場代はりに使ふ」輩への対策とアタシは理解。強要たら上司と相談します、で結果OK。客だから多少の無理を言はせてもらふが、 サービスの温度の低下は悲しいもの。昨日よりの雨依然激し。午後に昨日に続き高座に上がるが喉の痛み甚し。晩に尖沙咀星光行金島燕窩潮州酒樓にて宴会あり末席汚す。この食肆の日本語も巧みなL経 理は既に十数年の、氏が未だ上環の肆に勤務の頃からの知己だが氏もかなり老けたがお互ひ様。潮州の料理も美味いが若い給仕まで慇懃で且つ機敏で客あしらひ が見事。敬服。
▼ブッシュ政権で03〜06年に大統領府報道官であつたマクマランさんが近日発刊の自著で曰く
イラク戦争は大統領による政治的なプロパガンダで米国民に売り込ま れた。(略、政権は)常に選挙を念頭に動き、大統領に有利になるやう世論操作してゐた。戦争は必要な時だけ遂行されるべきだと思ふが、イラク戦争は必要で はなかつた。
と(朝日新聞)。米国のイラク征伐の当初からアタシだつてわかつてゐたことだが当時の報道官であつた氏が指摘することに大きな意義あり。

五月廿九日(木)午前中、大雨雷雨。本日、某ホテルでの会合に寄り、懇意のホテルゆゑ原稿の手直しなど個人的に会合前後のエグゼクティヴラウンジアクセス を請ふ。本 来はエグゼクティヴフロアの宿泊客のための施設でバンケット利用者に利用資格ないが、これまでも何度か、過去には先方より「どうぞご利用ください」と勧め られ、今回もこちらのリクエストに気軽に応じていただく。するとラウンジでスタッフに「お飲み物もどうぞ」と勧められserved by yourselfでオレンジジュース飲んだらHK$55請求され驚くばかり。世知辛し。空港やホテルのエグゼクティヴラウンジで飲み物代請求された経験は 今まで一切なし。常識的に考へて、ご厚意に甘えておいてなんだが、高い飲み物代請求されるなら態々ラウンジなど使はぬわひ。晩に尖沙咀山林道の太湖海 鮮城にて会合の宴会あり末席を汚す。今様に言へば「ベタな」粤菜。客人をホテルに送り帰宅。
▼FT紙の一面トップに“Japan's LDP looks to put off election”とあり自民党は現時点での総選挙は民主党有利で自民下野の可能性高く出来る限り総選挙引き延ばし……とまぁ事実だが特段、FTが一面 トップにする程の価値なきネタで当然かういふ記事には思惑あり何かと思へば結局のところ“one of the ruling party's most prominent politicians”がFT紙相手に語つたさうで、それが Yuriko Koike, former defence minister, who is considered an outside candidate to succeed Yasuo Fukuda as prime minister, said...で、要するに意図は小池先生の宣伝に他ならず。報道として「阿呆らしい」が小池先生が「ちよつと、オタクの新聞で持ち上げてよ」と頼めるほ どなのか、記者が懇意か、FT紙東京支局の大新聞にありがちな(ナベツネを見るまでもなく)記事で政局動かす悪趣味か、いづれにせよ小池先生贔屓。だが現 実には先生が麻生君らに比べoutside candidateであるのは事実で、日本初の女性首相誕生には前提として自民党の下野、政権奪回には麻生君ら既存の自民党のオトーサンたちでは有権者の 再支持を得られず起爆剤としての小池党首待望論にならねばならず。さういふ意味ではこの記事はどうであれ小池先生には有利か。

五月廿八日(水)早晩にFCCのラウンジで書類整理。そごふの旭屋で受領してきたカメラ雑誌二冊読む。最近、アサヒカメラに比べ日本カ メラの方が(後者の編集部に知人がゐるから褒める訳ぢやないが)アタシのやうな古典派には圧倒的に面白いと思ふ。それにしても写真はカメラもさうだがフィ ルムの時代に比べデジタルになり雑誌もつまらなくなつた、と感じる。Z嬢来てナシゴレンを半分づつの夕食。市大会堂に赴きStephen Houghのピアノ独奏を聴く。メンデルスゾーン の「厳格」変奏曲(作品54)に続きベートーヴェンの第32番ハ短調Op.111と知的に攻めて来たStephen Houghさん。演奏はちと固い。後者はベートーヴェンの最後のソナタ、もつと悟つて昇天が欲しいところ。中入り後はウェーバーの舞踏への勧誘変ニ長調、 ショパンのワルツ作品64の2嬰ハ短調、華麗なる円舞曲変ニ長調とこのへんは普通のピアノリサイタルつぽかつたが、ここから一気にサンサーンスの呑気なワ ルツ、シャブリエの気まぐれなブーレ、ドビッシーのレントより遅く、でリストの忘れられたワルツから「無調のバガテル」とメフィストワルツ1番までノンス トップ!で一気に「踊られた」。アンコールは中国風のダンス曲とカプースチン、Federico MompouのCançons i dansesの7番(なんて珍しい曲は会場でStephen Houghの弾く、このMompouのCDを買つて帰宅後聴いて知つたのだが)。それにしても後半のサンサーンスからシャブリエ、ドビッシーから殊にリス トの2曲は圧巻。Stephen Houghは当世のとても重要なピアニストである、と実感。
▼中国の国民党と共産党を一言で定義すれば「国民党は悪筆」で「共産党は達筆」。共産党の達筆は毛沢東、周恩来、鄧小平、江澤民と続き(例外は李鵬)昨日 紹介の温家宝と名筆が続く。それに対して国民党。情けないくらゐ字が下手なのは畏れながら孫文に始まり(蒋介石は悪筆といふほどひどくないが)05年4月 に歴史的大陸訪問果たした連戦さん(当時、党主席)の「中山美陵」の凄さは記憶に新しいが今回、大陸訪問の新任の党主席の呉伯雄さんも勝るとも劣らぬ拙筆 ぶり。中国人といふと(台湾人も含むが)毛筆で達筆といふ印象ぢたひがステレオタイプなわけで何処にでも達筆と悪筆がゐて当然なのだが、やはり国を代表す るやうな政治家たるもの、字が上手いに越したことはない。

五月廿七日(火)散髪。FCCにて智利はViña Montesの葡萄酒品評会あり参加。白は07年の若過ぎるSau Bと(以下、全てMonte Alphaの)06年のChard、赤は05年のCab Sauv、06年のPinot Noir(06年)、Melrot、Syrah、そ れにMontes Purple Angel 05年、Motes Alpha "M" 05年と高値まで。Cab Sauvが安定した風味、個人的には燻香の強いSyrahが料理に合はせにくいがクセが面白いと思つたが帰宅してHugh Johnson'sを眺めたら評価が同じ。Purple Angelは葱の香り、で多少甘め。トップエンドの"M"はよくは出来てゐるがブレンドで、どこまでMontes産で安定供給できるのか微妙。微酔ひで帰 宅して餃子茹で食す。五糧液を杯に一杯。五糧液も四川省の産品だが地震被害は如何に。四川大地震といへば地震直後に現地にて指揮の温家宝首相が四川省綿陽 市の中学で学生を前に講じられた際の板書書きを学校が消さずに保存を決定。「多難興邦」と人柄を好く表す字の美しさ。
▼「安くて美味しい」ことはいい。が「安くて美味しい」のは、ちよつと散歩がてら気軽に食べられるとか、その程度のことで、わざはざ行列に並んだり遠出し たり何人もで会食したり、はいくら「安くて美味しい」でも対費用効果が悪いのぢやないか、と。それにラーメンとか寿司とか、或いは高級食材でも果たして 「並んでまで食べる」ものなのか、がアタシには理解できぬ。

五月廿六日(月)曇。早晩に驟雨あり。
▼NY Times紙の“Chinese Are Left to Ask Why Schools Crumbled”は四川大地震の学校被害について、必読。学校教育が近代国家にとつ て国の政策の根幹するならば(明治政府の学校教育整備を見よ)、殊に一党独裁の共産主義国家にとつて国民教育の重要性を考へれば、学校建物崩壊は「あつて はならない」こと。而も手抜き工事が地方党政府の小役人と建設業者の癒着によるものとすれば尚更。ところで信報社説によれば、今回の地震の被害は 5,000億元に達する見込みで(個人財産の損失含まず)中国のGDPの3%に相当。四川省内に本部をもつ国営企業は3社(下部組織数で50余社)。中央 傘下企業の自身での被害だけで300億元。大規模な自然災害による株価暴落を見ると1995年1月17日の阪神大地震で地震発生当日から23日までの4日 (交易日数)で日経平均株価は7.6%下落したが、その後回復(といつても長期的な株価下落は云ふに及ばず)。1999年9月21日の台湾地震では地震発 生後株式取引停止で27日の再開で5日(交易日数)で5.2%下落。と考へると大規模な自然災害が株価には短期的負荷で済むことは明白。今回の四川大地震 も四川省内に「四川路橋」や「重慶路橋」といつた重建系ははじめ63社の一部上場会社があるが半数以上が地震被害が比較的小さい成都にあり、具体的な地震 被害被つた「東方電気」など除く9割の上場企業の株取引が再開されてをり、さういつた視点からは市場的には被害は小さいといふ見方も出来る。が今後の課題 は少なからず。まづ四川省が中国西部で最も富み今後の開発の潜在力の高い地域であること。中国政府は1950年代から四川省に重建系や核開発の企業を設け 90年代にも改めて西部開発構想を発表。その四川が地震帯にあることが明らかなら、この西部開発構想も再検討すべきではないか、と。阪神大地震を例にとれ ば再建の投入資金は地震被害総額の3倍に当り、四川地震の被害が5千億元なら再建費用が15千億元に達するとした場合、国務院の700億元の拠出がいかに 小さいか。
▼成田空港での麻薬犬訓練での大麻124g(末端価格約百万円也)の紛失。大麻所持してしまつたのは香港発のCX520便の旅客で、香港にそのまま持ち帰 り発覚すれば因みに(情状酌量は当然あらうが)終身刑で罰金は最大HK$500万。香港ならまだマシでシンガポール筆頭に東南アジア各国で麻薬絡みは最高 罰は死刑が殆ど。南無阿弥。
▼FT紙に訪欧中のダ ライラマ14世のインタビュー掲載あり。チベット亡命政府の対中国政府との柔軟路線に対して進捗が見られぬと非難する強硬派も多し、と。続けて中 国指導部に対して
Sometimes I really feel sympathy for President Hu Jintao and Prime Minister Wen Jiabao. The country, over 1bn human beings, has a lot of complications. There’re still some wounds from the Cultural Revolution to some people, some generations. And for another generation, the wounds of the Tiananmen event are still there. Then there are a lot of complaints about corruption, such large scale corruptions. So, a very complicated country. All sorts of Chinese traditions are much damaged. It’s a very difficult period, very difficult period. And I think the leadership is following a more cautious path. That I think is very realistic and understandable.
と理解と同情すら見せる、さすがの老獪ぶり。敬服。

五月廿五日(日)曇。先考生誕は昭和七年本日。朝五時前に目覚め茶を煎れ新聞読み(毎日のことだが)。この年になると肩凝り、神経痛、耳鳴り、眩暈、瞼の 痙攣……と身体の節々の不調が不愉快で、どうにかそれを回避せねば生きてゐるのも不愉快なほど。で適度に運動し、薬に頼り健康に留意し……と結果、長生 き。人間の身体など千古の昔より寿命は四、五十年なのだ。当然それを越えれば不自然な長生きなわけで而も本当に若者と全く遜色なき身体機能で長生きの老人 など化け物で、じつは多くは身体機能のガタがきても行き続ける、謂わば「死に損なひ」。……と考へるとだんがん暗くなるので多少、楽しく生きようとする。 それがまた長生きにつながる。やはり「死に損なひ」か。午前中ぼんやりとRTHKチャンネル4で音楽聞いてゐると毎週日曜午前10時からの「早期音 楽」といふ番組でパーソナリティの名前にハタと膝を打つ。この番組の司会のPerry So Pak-hin(蘇柏軒)君こそ今年の国際プロコフィエフコンペティションで優勝の若手指揮者。先週だかのSCMP紙の記事に大学はYale大学で比較文 化など学んだ彼は指揮者としての尋常のコースとは程遠く大卒後に音楽の研鑽積んだ後は香港に戻り地場で指揮活動の他にFM番組で司会務め……とあり。それ がこの人。毎週日曜朝に独特のしつくりとした喋りでのバロック音楽など語るこの人が指揮者だつたとは。ぜひ大成してもらひたいと願ふ。香港での指揮お披露 目が楽しみなところ。晝まで陋屋にて寛ぎ午後早くZ嬢と中環埠頭。K氏と待ち合はせフェリーでランタオ島の梅窩へ。原油高騰の話題となるが中東が儲けてゐ るやうで実は退任近いブッシュが米国の原油産出メジャーの代理人として大統領退任前に米国石油メジャーの権益確保が真実よね、とK氏と意見が一致。梅窩よ りバスで長沙下村。I氏、K氏とS嬢と合流。両氏は午前中、粉嶺の香港ゴルフ倶楽部でのプレイで大雨と落雷で後半のプレイ中止の由。新界の粉嶺でゴルフし てランタオ島まで午後の食事は遠さうだが粉嶺のゴルフ場から高速で青衣経由でランタオ島の東涌まで運転手に送らせタクシーに乗り換へランタオ島の峠越えす ると意外と遠からず。6名で上長沙海岸に面した南アフリカ野蛮料理店Stoepに 食す。Springfield EstateのSau Bの07年“Life from Stone”飲みチーズたっぷりのサラダ、馬鈴薯、鰯の燻製。Klein Contantia EstateのCab Sauの03年 KCでビフテキとタンドリーチキンの丸焼き。後者の葡萄酒はすぐに空いてしまい2本目に。日暮れ前にバスで東涌経由でMTRで戻り。寛ぎの日曜日。

五月廿四日(土)昨晩は少し宵つ張りで三更半夜に寝入つたのに今朝も四時半過ぎに目覚めちまふ。土曜は信報に「理性消費」と張建雄氏の世界漫遊と美食の随 筆、それにFT紙の週末版のLife & Artsの一折と金曜日に届くThe Economistがあれば週末は楽し。朝から机に凭り今週済ませきれずの雑事幾つか片づけ昼前に少し走らうと外に出れば酷暑猛々しく思はず近隣のジムに 逃げ込みトレッドミルで走る。午後お出掛けで一つ用事済ませ帰宅して晩にお好み焼き。何故かお好み焼きにLos Vascosのレゼルヴァ06年。お好み焼きは豚肉の薄切りを焼き大量のキャベツに擂つた山芋に小麦粉をつなぎで少し加へるだけ、で見た目より軽くソース も辛口のを少しつけて食べる程度でお好み焼き食す間に使ふソースは大さじ一杯ほど。カロリーも胃の負担も心配なし、の老人向け。陋宅の階上の住人の子が飛 び跳ね走り回り興奮して叫び「賑やか」通り越し近所迷惑甚だし。苦情告げに参ると親が幼子に「ほら、謝りなさい」と。幼子が騒ぐのは当然で、それをマン ションでどう自粛するか或いは厚手のカーペット敷くとか考慮すべき、謝るのは幼子にあらず親=あなた本人だらう、と諭す。即効で安静。騒ぐと迷惑、と相手 が理解したか、と察すのは甘い。けふ日、アタシのやうな「危険な隣人」の意に背けば幼児が危害被るとでも思ひ狂気人を怒らせまいとする自らの安全対策に他 ならず……それで静かなら好いのだが。ところで今晩、NHK特集「中国・四川大地震」看てゐたら番組の最後の方で「今回の地震では中国各地から自主的に集 つたボランティアの人たちの活動も目立つてゐます」と取り上げ(事実であるが)、一例として官方の救援活動も未だ施されぬ震源地に近き山奥の村に分け入る ボランティアを映す。行き止まりの山道で山中より罹災の村人が何人か下り現れるが怯えた表情。それに声をかけるボランティア……のはずが、カメラマイクの 拾つた山人への語りかけが「我們,日本廣播電台!」(日本のNHKです)と聞こえたのはアタシだけかしら。「役所の救援が地震から全然来なくて、私らずつ と何も食べてないんだよ」と老婆の叫びは耳に残る。がボランティアが主導でNHKは取材で同行、のはずだが、この「我們,日本廣播電台!」一言でどうもそ れが怪しい。
▼シドニーのRoslyn Oxley9 Galleryで開催予定の豪州の映像作家Bill Hensonの 個展、少年少女の裸体モチーフにした画像を当局が押収(The Australian紙記事)。ラッド首相は“no artistic merit”と指摘。BH氏の作品の猥褻性如何より、その作品に犯罪性を看る周囲の「まなざし」の方がアタシは怖い。
▼同じくFT紙週末版よりLunch with the FT: Henry Kissingerでキッシンジャー博士が中国について。
Let me tell you how I see China. China is a country with a record of continuous self-government going back 4,000 years, the only society that has achieved this. One must start with the assumption that they must have learnt something about the requirements for survival, and it is not always to be assumed that we know it better than they do.
政権が王朝だらうが封建制であらうが春秋戦国の時代があり現在の一党独裁も含め、いづれにせよ中国が四千年にわたり自治国家たることへの畏敬をキ博士に云 はれると含蓄があるが「元」や「清」の異民族支配はどう看るのかしら。
▼FT紙の週末版より“Japan's goodwill diplo-cat in China”の 紹介。題名だけでも興味深いが日本の中国・香港向けの名誉観光大使にハローキティ猫が選ばれたこと取り上げ「話をせぬキティちやんなら過去の歴史に心から 追悼の意を表す必要も逆に靖国参拝する意地もなく、大使には最適」としてサミットに集る各国もそれぞれの国のキャラを遣つてはどうか、と英仏独……と例に 挙げ最後にPerhaps Washington could simply dispatch a lame duck.と米国ならさながらディズニーでドナルルドダックだらうが、実は華盛頓にlame dackが一羽、とブッシュへの皮肉。

五月廿三日(金)晴。猛暑。在北京のDazhao氏より「こんなもの造つてをります」と届いた画像。1920年代のモダン建築か、と思つてよく看れば香港のトラムの電車模型。相変らず 精巧な手作業だが、やつぱりかう並べられると、どう看ても20年代のモダン建築として秀逸。トラム建築、と勝手に名づける。中環に出掛けプリンスビルヂン グの画廊Alisan Fine Artsに寄 り高行健(Gao Xingjian)の水墨画看る。Gao Xingjianはノーベル文学賞受賞の巴里在住の華人作家にて水墨の絵も好し。帰りがけにHMWにてショスタコーヴィッチの7番「レニングラード」 (バーンスタインで市俄古)のCD入手。ふと同じくシカゴ響でアバド指揮でシュロモ=ミンツのヴァイオリンでベタだがメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏 曲のCD見つける。LPでの発売当時に話題となつたのがつい昨日のやうだが1981年の発売でもう27年前とは。LPも何処にしまつたままか、懐かしく CD購ふ。それと数日前に畏友William鄧達智君が信報に書いてゐたMary HopkinsのThose were the days「悲しき天使」なんてアタシらには1970年の大阪万博に合 せた彼女の来日公演の記憶。このCDも探すがポップスで見つからず。店員に尋ねると若い彼はMaryなんて知らず検索の結果、クラシック&ジャズの隔離 コーナーでジャズの隅にイージーリスニングの棚に在り。達智君がMary Hopkinsから蕭芳芳を語り、アニタ=ムイ、レスリー陳國榮に至るのが「人人都要做女妖」と表す。御意。帰宅してCDを聴きつつ赤葡萄酒をよく飲む。
▼四川省の地震被害多大なる小城市にて配給物資めぐり市職員が知己に優先配給だかで普段から小役人らの自私行為に不満募らせる群衆が暴れパトカー倒し付近 の商店に打ち壊し行為あり。NHKのニュースで日本から派遣の医療チームが成都で通訳の水準の高さに驚いてゐたが四川省の外語熱の高さは清末からの伝統。 成都の大学の日本語指導の高水準、四川省の英語レベルの高さは全国でも有数のもの。沿海州に対して、この山奥での外語熱と海外志向は巴里留学の鄧小平少年 の例を挙げるでもなく興味深きもの。
▼ANAの香港支店が中環より尖沙咀に移転の由。その移転先がJAL香港支店と同じビルで「殴り込み」とか、更には「実は原油高でコスト削減のためJAL とANAが大同団結で支店統合」など根も葉もない噂もあり。ANAといへば李嘉誠の次男リチャード皇子がANAと合弁で香港で航空会社設立といふ噂も巷に あり(バジェット航空か)。長兄のビクター皇子は地場のバジェット航空Oasis Airlines倒産で同社の経営者に資金融資。通信事業で父と長兄がハチソンテレコム、次男がPCCW経営、といふ家族で業界独占の再来か。李嘉誠とい へば昨日の李嘉誠財閥の年次決算報告で話題は会社業績より蘋果日報への苦言つらつら。孫娘狙つた幼稚園での様々な手口での盗撮、亡妻の墓に参れば新聞社が 日雇ひした気の触れた女に「私は李嘉誠の娘!」と叫ばせ話題づくり……激怒し続けたが最近では余りの低レベルのニュース作りが寧ろ笑へる、それほど李嘉誠 の話題で新聞のトップ記事欲しいなら出演料を払へ、と李嘉誠。当然、蘋果日報には李嘉誠財閥系の一切の企業(長江実業、黄埔、Park'n ShopからWatsonsなどなど)一切の広告掲載なし。だが蘋果日報側にしてみれば中国政府批判は出来ても広告収入減が怖く李嘉誠に噛みつけぬ中、脇 の甘さなど皆無の李嘉誠であるからこそ東スポ的に話題づくりの意義あり、といふところか。

五月廿二日(木)「川一震、天下動」と普段は冷静な陳雲さんでも四川大震災では中国の今週の三日の喪で国民が地震発生時刻に黙祷捧げた時を「これぞ現代中 国の誕生」と宣はれる。
中国は開放改革、資本主義、工業化、都市圏への労働人口の大規模な 移住、情報化、社会開放、中産階級の登場、個人主義などここ数十年でかなり変容を見たが反面、利己主義や走貪、物質至上感などもあり、それが今回の地震で 国民の心が一つとなり我を忘れ援助の手を差し伸べ警察や軍、医療機関など一致団結して災難救助に当り、我々は現代中国の4つの条件、即ち成熟、自発心、動 員力と開放性並びに組織性をここに見ることができたのだ。
確かに評価すべき点もあらうが、陶傑さんは
人間性と云ふのは易しいがアジア通貨危機で香港株価や地産暴落した 1998年に富豪筆頭に「獅子山下」を歌つて一致団結また頑張らうと涙したり地震で死者が四、五万人になつた時の義援など、極端な状況悪化にならねば人間 性の素晴らしさが見えぬとしたら、あまりにも代償が大きすぎやせぬか。人間の生命はそれほどチープなのかしら。人間性が普遍なら、なんで豆腐で家を建てよ うか(今回の地震での学校など建築のいい加減さを皮肉つたもの)。災難になれば何か騒ぎ、では虚妄と云えなくもなし。
晩遅くマーラーの1番(オーマンディ/フィアデルフィア)を聴いてゐて秀和さんのマーラーに関する記述読みたくなり吉田秀和全集の第2巻のマーラーを読 む。この全集本、1975年に初版が2月に出て僅か八ヶ月後で第四刷。当時の「教養」に対する勢ひのやうなもの感じる。秀和さんによれば当時、まだマー ラーの交響曲の演奏はオケにとつてかなり消化の難しいもので1番、9番とやうやくモノにするオケが出てきた……云々。それが1973年の記述、今から25 年前はさういふ状況だつたのか。
▼台湾では総統退任の阿扁君、公費横領だけでなく2004年3月の二期目選挙投票前日の狙撃の疑惑の銃弾も再調査の由。余の日剰紐解けば
連戦君が多少有利といはれてゐたなかこの狙撃事件で浮動票が亜扁に 流れて仮に亜扁再選となつてもさつぱりとせぬ結果齎すばかり。(3月19日)
数発の銃弾が土断場で選挙の流れ変へる。八時には大勢判明と言はれ てゐたが七時五十分に民進党が勝利宣言。これで何が確定したかといへば亜扁総統の続投で国民党の連戦はもはや政治生命断たれ国民党のホープ台北市長・馬英 九君が次期総統選挙で国民党候補となり当確といふこと。下手に今回、連戦が勝てば副総統候補に甘んじた宗楚瑜との間で国民党への候補統一の条件として将来 の禅譲といふ約束があつた可能性があり、さうなると馬英九の出番が狂ふ懸念あり。今回の国民党の敗北でもう国民党には馬英九以外の候補なし。(3月20日)
と我ながら「その通り」の結果に。だがかうして辿れば1998年の台北市長選挙で現職の阿扁vs英九君の一騎打ちがあり台北市民が英九君選んだことが結果 的に阿扁を総統選挙に担ぎ出したやうなもので、結果論だが98年に台北市民が阿扁の市長続投を支持してゐれば2000年の李登輝総統引退で英九君が国民党 の総統候補であれば当時は勢ひのあつた民進党も有力候補なし、で英九君の総統就任が8年早まつてゐたの鴨。また2004年に疑惑の銃弾の最大の受益者は今 回の選挙で英九君と明らかに。いづれにせよ首都の市長選挙に落ちた現職市長が (いくら南部の支持があつたとはいへ)元首となつたことぢたひ今にして思へば大きな矛盾。
▼スペインの女性国防相が妊娠から出産へ。朝日新聞の記事に
就任後、同国軍が駐留するアフガニスタン訪問などをこなしたが、 20日の国会国防委員会への出席は急きょ、キャンセルされた。
とあり。何気なく読み進みさうだが、文法的にはヘン。主語はこの「国防相」だから文章の前半が「訪問をこなした」なら自然な文体では後半も主語は同国防相 のはず、となると「キャンセルされた」は意地悪く読むと「尊敬」の表現のやう。当然、「出席がキャンセルされた」の受け身表現なのだが、主語の一致の原則 で、産気づき自分や周囲の意志で参加取り消したのだから「出席は急きょ、キャンセルした」とすべき。このやうな本多勝一が叱りさうな非論理的な日本語が記 事の中で散見されるのが朝日新聞(に限らぬが)。
▼天災があると新聞に「浩劫」といふ言葉が見出しなどに多し。一瞬、なにか「明るい」言葉に思へたが、これは英語ならdisasterで大災害を意味す る。がどうもピンと来ずにゐたが昨日の蘋果日報の随筆で陶傑氏がピシャリッと言ひ放つ……「浩劫」といふ語の多用が安易すぎる、と。「劫」といふ字はそも そも仏教の観念。時空は無限にて世俗の年月日で測れず、この無窮無尽の時間の一つの単位が「一小劫」、八十小劫が「一大劫」。大劫は四節あり「成、住、 壊、空」それぞれが二十小劫毎。台風、津波と地震は「壊劫」の中の「大三災」で、つまりは「災ひ」も諸行無常、仏教的な時空の中では「永劫の時間」に比べ れば小さなこと。ちなみに恐怖襲撃・戦争と飢饉は「成劫」の中で「小三災」とされる(ほど小さな扱ひ)。……であるから「劫」のいふ字は中立(ニュートラ ル)で、例へば隋書に
大水大火大風之災、一切除去之、而更立、生人又帰淳樸、謂之小劫。 毎一小劫、即一佛出世。
にあるさうで、あらゆる厳しい天災を経て、それが収まり人が淳樸に戻る、この長い時間が小劫で、その一小劫に佛様が世にお出ましになる、と。ありがたい 話。詳しくは原文(こ ちら)。

農暦四月十七。小満。甚だ涼し。自宅の扉鍵を持たぬまま外出したこと気づき国際救助隊(Z嬢だが)の到着待つまでQuarry BayでEast Endは満員御礼で近隣の酒場で麦酒一飲。 ハッピーアワー でEast Endなら黙つてゐても一杯目飲み干す頃にいい具体で二杯目が供されカウンターのレシート入れのコップに百ドル札いれるとさつと勘定済まされるのに、この 酒場は給仕の機転が全くきかず。朝早起きで新聞も夕方迄に読み終へ手持ち無沙汰で酒場に向ふ途中買つた「撮影雑誌」誌5月號でJustin Jinなる写真家を識る。ドキュメンタリータッチだが独特 の艶つぽさ格別。帰宅して晩のテレビニュース眺めれば北京の天安門広場にtens of thoundの群衆が鳩まり「中国加油〜!、中国万歳〜!」と大躍進や文革での死者の数は今回の地震の数百倍なのに天安門の毛沢東の肖像画に向つてのシュ プレヒコール。劇的すぎ。挽肉のトマトソースのパスタにQuarry Bayの葡萄酒店にて今晩購つた豪州のSaltramエステートのMetala、05年のShiraz Cabを合せる。我ながら感心する取り合はせにかなり満足して早寝。
▼香港政府が問責制拡充がため(無駄だが)8名の副局長任命。内1名を除き官庁外からの器用で自称政治家・文革曽行政長官子飼ひの行政長官弁公室主任の陳 德霖が集めたお友だちサークルと専らの噂。教育局の副局長に任命された陳某は香港ジョッキークラブで馬場事務部の部長からの抜擢。教育は競馬馬の調教 か……。
▼四川大震災の喪に服し月曜より三日間、香港ジョッキークラブは今晩のHappy Valley競馬場での競馬競技中止。月曜日の朝に出走馬最終決定し、その後の中止決定。すでに競馬新聞など刷り終はり損害大。せめて日曜日の決定であれ ば。蘋果日報で左丁山氏が知人の弁として曰く、哀悼の意を表し競馬中止もいいが、どうせなら開催で競技前に黙祷捧げ今晩のジョッキークラブの売上げのうち 配当の上前(約2割)と優勝から5位までの賞金も全額義援金に拠出すればHK$2億になるはずで、それを四川省の罹災民に贈つたはうが実利あり、と。
▼中華料理と葡萄酒について。唯靈さんが信報の連載で書いてゐる。経緯は省くが唯靈さんがテイスティングに選んだ料理は「薑葱炒牛肉」「梅菜排肉」と「乾 葱原粒豆鼓爆鶏」といふ、もうそのまま順徳のやうなベタな地場料理。さすが。でテイスティングの結果、Cuvée Armonioつて「高級だから良い、のではなく」グルナッシュノワールが40%、メルロー30%、カベルネが30%といふバランスがいいのだ……つて言 はれても世界でも入手困難な葡萄酒と薑葱炒牛肉、梅菜排肉と言はれてもねぇ……(汗)。寧ろHugh Johnsonの葡萄酒ガイド本が中華料理の際の提案としてSt-Emilonか南半球のPinot Noirを挙げ、またChateauneuf-du-Papeが広東料理の鴨に合ふとするのはアタシの選択のままなので嬉しいかぎり。ついでに綴つておけ ば四川料理に合ふ葡萄酒として(そんなもの存在するのが不思議だが)BerdicchioやAlsace Pinot Blancを挙げたのが自棄で「でもやつぱり冷たいビール」とのコメントに笑ふ。
▼テレビなど地震の「被害者」を「被害者の方々」といふ言ひ換へが耳障り。相手を思ひやるなら「被害に遭つた方々」とすべきで「者」といふ呼び方に高慢さ も偏見差別もないのだから。NHKで神南のスタジオと四川省の現場との遣り取りでスタジオのキャスターの方が「被害者の方々」と云ふのに現場の記者の方は 「被害者」と呼び捨てなのが好対照。現場の切実さとスタジオの温度差。「中国人の方々」も同じ。またNHKなど「大地震」を「おおぢしん」呼ぶのも耳障り なのだが「地震」は漢語といふ意識は薄いため大雨(おゝあめ)や大鳥(おゝとり)など和語的に「おおぢしん」にも違和感がない、といふ見解の由。個人的に は「だいじしん」のはうが音の並びが良いと思ふが、ふと思つたのは地震は漢語だが和製漢語ぢやないか?と。「地が震へる」といふ漢字の主+述の並びが日本 語的発想。詳しく調べてをらぬが「地震」は「地震、雷、火事、親父」の例出が平安末期の伊呂波字類抄に見られ「雷」以下の火事、親父が漢字和語であること からしても地震もかなり和製漢語か、と思ひ大槻博士の大言海引くと地震は「國語」とあり納得。
▼親の離婚時期で生まれた子どもに戸籍が設けられぬ=出席届けも受け付けられぬ問題。戸籍ぢたひが百害あつて一利なし、住民票に統一すべき話、国民として の権利喪失の重大なる憲法違反。ところで「出生届」も「しゅっしょう」届といふ読みが普及。「しゅっせい」は戦前に「出征」と紛らはしいので「しゅっしょ う」としたといふ説もあり。漢語でどちらでも良ささうだがアタシは個人的には「しゅっせい」好み。理屈としては「しゅ」が漢音なので同じ漢音の「せい」が 好聴、「しょう」は呉音で「しゅつ」の後には耳障り。「生」を「しょう」と読む例は「生類」など甚だ少なし。
▼先週、香港証券取引所(HKEx)の理事辞任のDavid Webb君が自身のブログにて自らの後任にドナルド=ラムズフェルド米国前国防長官は如何か、と揶揄(こちら)。
There are thins we know that we know. There are known unknowns.There is to say, there are things that we now know, we don't know.But there are also unknown unknowns. There are things we do not know, we don't know. So when we do the best we can, and we pull all this information together, and we then say well that's basically what we see as the situation, that is really only the known knowns, and the known unknowns.
の迷言などでわけのわからん大賞受賞のわけのわかならさ、がHKExに適任、と。

五月廿日。未明に目覚めれば昨晩が十五夜、今日が満月のはずが大雨。月を愛でるくらゐしか人生に楽しきことなき老生に月の出ぬ雨は空し。昼に食事兼ねた講演会あり。拝聴するが朝四 時起きぢや昼の睡魔との戦ひは険し。粗呆區に今月開業のSundaram Tagore Gallery訪れる。千住博君の作品も数点あり。紐育と加州ビヴァリーが丘で大好評のこの画廊はその名の通り印度の文人ラビンド ラナート=タゴールの末裔たるSundaram氏によるもの、香港政府の中でも「最も不要千萬」「百害あつて一利なし」な香港投資推廣署が Sundaram氏に香港の芸術文化向上のためにと三顧の礼尽くし香港で開業。先日の信報にてSundaram氏曰く「伝統がけして全て良いわけでもな く、反面、現代化にも欠点がないわけでもなし。伝統はすでに静止したものに非ず伝統もまた時間に従ひ様態を変へる。ゆゑに個人の思惟もまた伝統と現代に対 峙していかなければ」と。御意。だが信報のこの記事で書き手(陳耀紅)曰く、文化は社会の多くの人々の整体表現の累積(の結果)であり、もし多くの人にそ の新しい世界に対峙する準備も経験もなければ、ただ口先で文化向上と云ふばかりで那就是堰苗助長、這個面目模糊的渾沌還是無從開竅(こんなのなんの打開策 にもならねぇよ)と。御意。HK Arts CentreにRoland Fisherの展示見ようと寄ると館長のA君と昇降機で遭遇。先週のART HK 08で草間彌生さんの今年の作品を看た話するとA君多忙にて“just money, money, money”の即売展示会には足を踏み入れてをらず、と。芸術品は公衆にあるべき、が信念のA君らしさ。HK Aarts 08といへば今朝のSCMP紙に盛況=多売、と記事あり。昨年サザビー競売にて中国モダンアート最高値(£290万ドル)で話題となりし「泣 き笑ひ」画家・岳敏君(Yue Mingjun)の作品が韓国の画廊から持ち込まれ150万ドルで売れた由。現物見たが「あれがHK$150万」と驚いたらUS$150万……ただ呆れる ばかり。
▼台湾総統に馬英九君就任。東京都知事石原君赴台祝賀の由。退任の阿扁総統、英九新総統の就任祝賀大会には当然?欠席。家族ぐるみの公費横領での追訴に怯 える日々の始まりは本日午後から街頭にて空き缶やペットボトルの資源ゴミ回収ボランティア活動に従事。ふとクスリや男娼監禁の軽犯罪で社会服務令に服し街 頭清掃中の英国芸人ボーイ=ジョージ君彷彿。英九新総統は台北での就任祝賀済まし新幹線の普通席に乗車し一路高雄へ。祝賀宴を高雄で開催は民進党基盤の南 部重視の狙ひ。地下鉄で高雄市街の漢来大酒店。漢来は高雄では高級ホテルとはいへ宴会予算は1人五千円程度で感覚的には首相就任パーティを品川のホテルパ シフィツク東京で開催のやうなもの。庶民派、南部重視といふ姿勢の見せ方が電通のやうな広告代理店の演出といふいふより地方都市の商店街の泉町振興会的な 発想が……いや、だからこそ庶民的か。総統官邸も総統「寓所」と改名の由。寓所と云ふには立派過ぎる日本の台湾総督官邸の建物よ。ところで台北での英九君 就任祝賀大会に李登輝君、当初「開催時間が早すぎ」で欠席の意向が突然の(予定通り?)出席で国民党にとつては李登輝君は「党史に残る千古罪人」の元・主 席ながら元総統として英九君、副総統に次ぎ首列第三席に座す。さすが。ちなみに李登輝君総統辞任の1996年の後任選挙で李登輝君の阿扁後援により敗北の 連戦氏夫人は李登輝君の前を通る際に会釈で済まし未だ怨念顕わ。
▼台湾政府は今回の四川大震災にNT$20億(66億年)義援金として拠出。そのほか民間で6億人民元。退任の阿扁総統はこの義援を「国際的」義務と称 し、それに抗するかの如く中国政府は海外各国からの支援金リストにこれを含めず。ちなみに1999年の台湾地震の際に中国は(あらためて小額だと思ふが) US$10万拠出し海外からの義援金や物資の台湾への支援に対して各国に対して「須く中国赤十字を通すこと」とクレームし台湾の反中感高めた由(蘋果日報 で李怡氏による)。

五月十九日(月)雨。四川大震災より一週間。中国は本日より三日間挙国同哀。香港含む各地で午後2時28分から三分間の黙祷。中国で初めて国民の犠牲に半旗掲げられる。犠牲者 に哀悼は当然だが多くの国民が天安門広場なので「中国加油、中国加油、加油!加油!加加油!」とシュプレヒコールで泣きながら拳を揚げ義勇軍行進曲(国 歌)を「起来、起来、起来!」と歌ふ態、「天災三分、人災三分」の災害が911の米国同様に愛国心の大規模な国民運動に転化した感あり。災害での救援やボ ランティアの活動に敬意表しつつ阪神淡路地震で田中康夫のボランティアは罹災者に少しでも真つ当な生活を!が目的(それだけ)でナショナリズムの国民運動 とは縁遠きものだつたことの%