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乾坤容我静 名利任人忙 乾坤ハ我ヲ静カニ容シ名利 ハ人ノ忙ニ任ス 乾坤は和訳に難き言葉なれど天地、陰陽、つまりは宇宙の理か。

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■既存の新聞に満足できないなら日刊ベリタを 読みませふ。富柏村の記事も「稀に」あり。
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讀みにくいこと間違ひなきサイト乍ら今後とも御贔屓の程宜しくお願ひ申し上げます。

2000 年11月24日からおそらくあなたは番目の閲覧者です。

九月三十日(金)快晴。朝四時半に目覚める。確かに昨晩十一時すぎには臥床ながら早 朝まだ暗きうちに一旦目覚めると眠れぬのは困つたもの。当然、朝刊も届かぬのを幸いに昨日の読み残しの新聞雑誌読む。朝五時半から本港台で「人在江湖」見 る。八十年代前半の新界錦田であるとか金鐘での工展の風景とかドラマの中に外景の実写あり歴史的価値あり。朝六時に中央電視台で「六点早新聞」見る。起 来!起来!起来!と国歌義勇軍行進曲で始まるこの朝のニュースをいつたい何億人が見ているのだろうか。朝日の朝刊届く。小泉三世靖国裁判訴訟は東京高裁が 一審(千葉地裁)の公的行為との判断退け私的行為と判断。「職務として参拝する趣旨と受け取られることを避けるため8月15日を断念し13日に参拝するこ とにした」から、との判決理由(嗤)。原爆投下の日をさけ首相が広島長崎を訪問すれば私的行為か。バカもいい加減にしろ東京高裁。排卵日を避けHしても受 胎したら事実は事実。行為より首相は行為の結果が外交問題に発展する立場であるから本人の認識が私的だろうが公的な影響ある場合は公的と判断されてよし。 それにしてもこの記事、朝日衛星版では第3社会面。通常、天皇陛下がお田植えとか、浩宮様が登山、の当り障りない記事ばかりの場所である。香 港の地元紙は信報も蘋果日報も原告が「不当判決」と幟を挿頭しての写真入りで政治面。この温度差の違い。朝、北角の波止場近くで「無人」の新聞販売スタン ドあり驚く。いつも店番がいたはずだが。眺めているとちゃんと客は6ドル置いて新聞を取つてゆく。お釣りまでちゃんと用意されていてお釣りのある場合は勝 手に崩す。田舎の街道筋で野菜の販売ぢゃありまいに。思ふに誰か新聞スタンド二軒経営するが店番を置けば人件費もかかる。新聞の薄利ならいっそのこと店番 置かず「勝手にお取りください」で多少の損があつてもそのほうがマシといふ算段だろうか。晩に自宅でドライマティーニ一杯。真露を飲みながらチゲ鍋。 NHKで釣瓶の「家族に乾杯」といふ番組で旅先は和歌山の本宮。伊勢から本宮にかけては南方熊楠だの中上健次だのいろいろあり、で旅のゲストは宮本亜門先 生。
▼その敷地面積から入場者数まで全く公表もせぬ香港鼠楽園の神秘ぶりは北朝鮮の如し。我々は香港鼠楽園の守衛のほんの一言などから入場者数が予想下回つて いることなど察するが(あの守衛ももう楽園追放されているはず)冠忠バスが昨日の株主総会で社主のW氏(知己の馬主なり)が「ディズニーランドへのシャト ルバスの乗客数が開園後も予想に達しておらぬ」と指摘。冠忠バスはランタオ島での大嶼山バス会社の親会社であり鼠楽園開幕にともない中国からの参観客目当 てに深セン境界の皇崗、珠江フェリー波止場の尖沙咀中港城からの路線を得、他に中環に開業のFour Season Hotelからと二軒の鼠楽園内のホテルからのバス運行もして更にKCRとの共同運営で上水站からの鼠楽園行きバスまで運行しているが「乗客は予想の日に 数千人に対して日に数百人」で鼠楽園開幕でランタオ島全体の観光客の伸びも期待したが期待外れ。実際には鼠楽園の客は香港の地元客が多く(当初、政府など が述べている)ディズニーの経済波及効果がどれほどのものか、まだ数ヶ月見てみないといけないが、とかなり悲観的。W氏兄弟の表情も暗澹たるものあり。鼠 楽園路線につきここまで言及することぢたい今後のバス専線の契約更改捨てる覚悟あり、であらう。
▼香港政府ICAC(廉政公署、汚職摘発専門部署)が中科環保電力と中国環保電力の経営者、通称「Ba叔」ら22人を逮捕。容疑は環保電力の経営者らが別 の会社に贈賄で環保電力との取引きあつたように見せかける粉飾行つたもの。これぢたいは「ありがち」な企業犯罪だが気になるのはICACの立場。英国植民 地時代に政府汚職ひどく設立された強権部署であるが97年以降はその権限独立ぶりがどうも一党独裁国家では気になる存在のやうで董建華襲つた「自称政治 家」Sir Donaldに中央政府から期せられた使命は3つの整頓があり、立法会民主派と公共放送「香港電台」と並びICACであるといふ。ICACにとつては正当 な業務執行であつても「また余計なことをして」である事例続くとICACの立場は脆くなる。今回の執行で気になるのはこの中科環保電力と中国環保電力(実 質的には同一会社)の背景。Ba叔は不思議な人物で電力産業のこの投資会社経営のほか中国国内の芸能プロダクション業務取り仕切る別会社も有してポップス 系歌手の中国国内での興業にもかなり力をもつ。開けっ広げで人懐こき性格も好感度あり。だがこの環保電力は「北京中科通用能源環保」の三分の一の持ち株な ど中国国内の電力事業への投資も積極的。で「中国電力」の親会社である「中電国際」の5%の株も所持。中国電力といへば中国の電力発電の最大手の国策会 社。ここに食い込むことは並大抵の話ではなく逆に環保電力は中電国際の香港での実質的なパートナー。で中電国際の副社長(実質的な経営責任者)が李小琳。 あの国務院前総理・李鵬の娘。中国政府では電力部出身の李鵬。その息子・李小鵬は機構改革前の「中国電力総公司」(中国の発電送電を総括する国営企業)の 副社長で現在は華能国際電力の会長。で娘がこれ。中国の電力事業を李鵬一族が仕切る。かなり焦げ臭い話であるが投資家邱永漢系サイト(こちら) などかなりノーテンキに投資情報。
もともと中国の電力業界は「中国国家電力総公司(SPC)」という ものがありました。電力の母体企業、基幹産業として国内では判独占状態が続いていました。しかし、独占的な企業はとかく競争力に欠け、技術革新意欲や経営 改革などに対しては脆弱な体質が芽生えます。
中国の発電技術はともかく、送電・配電体制が先進国に比べてウイー クポイントになっています。送配電体制が機能的に整備されていないのは、これまでの政治体制の中での派閥が原因だとも言われています。言い換えると電力会 社は政治的な色彩が非常に強い業界と言えます。更には、政治との癒着や腐敗を生むことになります。
そこで国家発展計画委員会は、電力体制の改革を実行し、国家電力総 公司を解体して、現在の5大発電グループと2大送電体制を作りました。
……だそうである。で誕生した会社が華能国際電力や中電国際。この「改革」のほうがよつぽど政治との癒着や腐敗であると感じるのは我だけだろうか。首相の 息子が三流役者でNHK大河ドラマで役を授かる程度が親の威光である日本は元首相家族が人口13億の国家の電力事業掌握する国家よかまだ健全かも。……と いふわけで「電力会社は政治的な色彩が非常に強い業界」であるがゆへにICACのBa叔逮捕がICACのみずからの首を絞めることになりゃせぬか、と思へ てならず。(……といふ以上の話とは「関係ない」が、と敢えて言つておくが)
OECD が中国での贈収賄汚職の現状を報告。異例。昨年一年の中国国内での贈収賄の金額は最大6,380億元で中国のGDPの5%に達するもの。一昨年の上半期に 中国から8,300名が贈収賄での逮捕免れるために国外逃亡、国内の失踪が6,500名。そのうち三分の二が国営企業の管理職で87.5億〜500億米ド ルを海外に持ち逃げ、といふ。
▼29日のIHT紙にハーバード大学で日本政治研究するMargarita Estevez-Abe女史の「小泉の新党」といふ論評あり(こちら)。 小泉三世の政治改革を首相への権力集中型の英国化と呼び先の総選挙での選挙結果は“promise to transform Japan and its relations with the rest of the world”だそうで90年代からの小選挙区制など一連の改革も日本が英国型の議会制民主主義の実現に向かふものだと位置づける。そんな讃めていいのか よ?と思ふが結局の結論は“Japan will develop a more pro-market face and be ready to tame on a more active role in the U.S. global security strategy”と、これをEstevez-Abe先生は問題視しているのではなく積極的に評価(凄)。米国にとつて小泉三世の改革がいかに有効か、な のである。“American business and policy makers will certainly find the new Japan easier to understand and to deal with. Whether a country like China will welcome the change is another issue”と述べるEstevez-Abe先生。中国に対する指摘は面白いが、この論調であれば、まだお若いが美貌の米国駐日大使候補確実。ご本人も当 然そのへんの強い意思あつてのこの戦略的政治論ではなかろうか。これで日本側は猪口外相か。嗚呼。
▼日本である公立美術館の学芸員をするS君からのメールによれば某県は美術館をはじめとする県立文化施設の廃止の検討に入り来年までには結論。財政破綻の 結果だが総務省の意向に沿うもの。地方公立文化施設の廃止は小泉構造改革の方針に他ならず「民間でできるものは民間で」の精神か。だがその反面、民間サッ カーチームのJリーグ加入推進には何億円もの財政支援を議会の反対を押し切つてでも断行。県武道館の無理矢理な建設も含めとにかく体育スポーツの強化は県 政の重要課題。思えば軍国教育において重要なのは冷静になることを知ることではなく熱くなることを知ることにあり従つて歴史でに非ず神話伝説であり、そし て美術文学に非ず体育、とS君。御意。

九月廿九日(木)薄曇。初秋の巴里は歌劇(こちら)。競馬は凱旋 門賞もこの週末。巴里の青き空を思い、ただ、た め息。眼鏡店にてコンタクトレンズ交換。昨日までの眼球の疲労感、頭痛嘘のやうに失せ老眼鏡なしでかなり近くの文字も見える慶び。早 晩にFCCにてドライマティーニ三杯。飲みすぎかしら。だが終日忙殺のあと日剰など雑感綴りながらの一飲にて甚だ心地よし。ラウンジで隣席に毎早晩この時 間に世界的ジャーナリストのCH女史あり。湾仔の中国旅行社でフェリーの切符購入。好感もてる職員の対応。Z嬢と待ち合せJaffee Rdの北京餃子皇に食す。拌青瓜と韮菜猪肉餃、羊肉餃と坦々麺を注文せば見事に坦々麺、餃子二種、最後に拌青瓜と供される(笑)。何も考えておらぬが「い かにも山東省出身」の雰囲気醸し出す主人の姿。湾仔の芸術中心にてLADENといふとビン=ラディン師彷彿させるがLittle Asia Dance Exchange Network(小 亜細亜舞踏網絡)の略称でこの舞踏発表見る。昨年十月Z嬢と余の贔屓にするDaniel楊春江君がこの小さな発表に出るため参観。で日本からの池 田素子を含む五人の、殊に数日の練習で発表に至つたといふ群舞の見事さ。で今年の発表。新嘉坡からJoavien Ng嬢、台北からSun Chou-tai、東京から笠井瑞丈、香港のAndy WongとソウルのChung Yuen-sooの五人が踊る。笠井君もいいが韓国のChung YSの端正な舞踏がさすがトリ、と納得。とても単純な照明の使い方がじつに見事。東京はちなみに10月11日に織部ホール(こちら)にて。
▼Vodafoneのクレジットカード支払い口座変更はオンラインではできぬとのことで自宅に変更届が送られ実家から転送してもらい本日受領。ここまで手 続き慎重で、変更届は往復葉書。そこに銀行口座や口座印鑑、クレジットカード情報など記載とあり驚くが、さすがに個人情報のため内容が見えぬように反対頁 のシールを剥がして記入部分にお貼り下さい、と「日本らしい」「高いコスト」の気遣いと思えばシールは「剥がして、また貼れます」シール。これぢゃ誰でも 開けて見れるがな。しかもクレジットカード選んだ場合に署名欄もなし。これで今度は「海外発行のクレジットカードはお取り扱いできないのですが……」とか 言われさう。「これまでも香港発行のAmexからVisaへの変更なのですが」と説明すると「当初、Amexでお受けしましたのはご登録が店頭だったもの ですから係の者が海外発行のカードとは気づかずにお受けしたもので……」と説明され「でも、それで受け付けて支払いができているのだからいいぢゃないです か?」と求めると「いやはやなんとも……」と永井豪。日本ではよくある話。
▼朝日新聞一面に「空自3曹覚せい剤云々」の記事あり。なぜ空自三曹覚醒剤と漢字使えぬ世になつたのか。覚醒剤はまだいいが3曹では級位とは思えぬ。一等 海尉は1等海尉と書くのだろうか、横書きだとまだ違和感ないが縦書きだとかなり変。ちなみに「陸将」など漢語だと漢数字で「6将」になり、かなり等級下が る鴨。この醜い日本語に徹するのなら小林1茶くらまで徹底するべき。鳩山1郎、タコ8郎、伊東4朗。永六輔はこの貧困なる文化に対抗して永6輔とすべきだ つた。いや、固有名詞でなくて普通名詞の場合です、と言うのなら従二位も従2位藤原定家とか。受勲で突然心配になつたのだが中曽根先生が大勲位なら小泉三 世もこれだけ長期政権で日本の構造改革に寄与すればやはり大勲位なのだらうか。南無阿弥。ただただ陛下がそれに難色示されることだけ願ふばかり。ところで 受勲について調べてみたが杉田荘治氏の受勲頁はすごい(こちら68万ヒット……誰が見 ているのだろうか)。宗教に関しても凄い(こちら)。 突然気になり杉田荘治でgoogleするとかなり濃い(こ ちら)。奥崎謙三先 生に近い凄さ鴨。
▼その朝日に中曽根康弘大勲位閣下が小泉自民党圧勝について 語るインタビュー掲載あり。郵政解散は立憲主義に対する侵犯、 と大勲位。だが小泉三世も小泉三世を支持する人も何が立憲主義で郵政解散がどう侵犯しているか、は理解できまひ。立憲国家の首相が立憲主義を侵犯すること は通常あり得ぬし(まずはそれが政治機能上、阻止される筈)かりにあり得たら首相更迭。80年代の中曽根君が治世の御時、改憲の主張や教科書検定で反動右 派の首相と思われたが今になつてみれば本人曰く「中道やや右」は確かに。警察庁長官で新左翼から敵と狙われた後藤田先生とて大勲位は「中道やや左」といふ が実際には仏蘭西的には後藤田先生は左派で中曽根先生もこのご時世では「中道」と言ふも余は辞さぬ。このインタビュー読んだ築地のH君が先日の帰朝当時は 日本の政治には絶望、もう新聞を見る気もせぬ、と言つていたが、この大勲位の発言読み、あらためて「知性と教養」がいかに人間にとって大切かを感じた、 と。大勲位閣下とはH君は政治的心情においてはまつたく相入れずもお互いに了解可能な言葉の存在、それが教養とか知性とかいわれる文化の枠組み。中曽根先 生に「少数派と同居する、異端とも共存する——これが民主主義だ」と言われても現首相にはおそらく文章の意味すらわからぬのかも。ところで大勲位は「国民じたいが変人・小泉が登場する前に「変人社会」になった」 と指摘。だからこそ変人首相が大衆の指示を得た結果が今回の選挙。大勲位ももはや国民が変であるとのご認識。御意。大勲位はH君の指摘通り自民党にあつて は保守傍流として常に自分が異端であったという自己意識あり。おなじく現首相の売りが「変人」とか異端であることな筈でも異端として似たような政治的境遇 潜つても全く別の結論に至る。それが「歴史を学ばぬ」ことの「無知の強さ」。今朝のテレビ番組では加藤紘一君が郵政政局で「両者とも大きな誤解をしてい る。反対派は小泉さんが決して解散をしないと思っているし、小泉さんは解散しても自民党が勝てると思っている。どちらもまちがいだ」と指摘していたが「郵 政という課題がこれほどまでに国民的な支持を集めるとはまったく予測できなかった。結果的に私の方が間違っていた」と率直に自己批判したといふ。加藤君の 頭脳はやはり高級すぎて大衆の愚昧さまで読みきれず。この人の致命的な弱点。「加藤の乱」の時もし彼が数名の手勢だけでも離党して勝負に出れば恐らくは国 民的なヒーローになり民主党との連立政権の首相も可なり、とH君。御意。だがそこまで大衆の動きを読み切れず。あくまで「宏池会」率いて自民党内でヘゲモ ニー握るといふ正攻法への拘りが敗因。逆に小泉三世あれを見て「そうか。これをやれば自民党で負けても総理になれる」と知つたのぢゃないか。だとすれば 「加藤の乱」こそが歴史的なメルクマール。あれが戦後民主主義にとつて最後のチャンス。それを逸し日本社会は「歴史の終わり」へと辿着く。鳥越俊太郎君は 後藤田先生の後継者は加藤紘一だ、と述べたさうだが勝とう君、首相になるチャンスはないかもしれぬが政治家である意味は限りなく大きいの鴨。但し、問題は 自民党のなかに加藤君の忠告など拝聴する輩がもはやおらぬことであらう。
▼イラクで裸の拘留者の首に縄をつけ引き摺りまわしの女性米軍兵、軍法廷にて懲役三年の実刑。“I apologize to  coalition forces and all the families”で「米軍とその家族への」謝罪。“(apologizing to) detainees, the families, America and all the soldiers”と拘留者にも言及するが訴える最後はそれでも“remained  an American patriot”と、この一言で二年は懲役減るか。米国への愛国心ゆへ正義のための戦役に従い戦場での過ち、ってか。

九月廿八日(水)朝日新聞衛星版の香港頁にNNA香港(こちら)の編集長の随筆で日 本の香港占領期に軍票の印刷に携わつた女性をこの筆者が尋ねた話あり。すでに高齢のこの人は自分の上司であつた鈴木といふ軍人のことを語るのだが鈴木とい ふ人はいい人でとても優しかつた、と言ふ。筆者をそれを聞いてちょっとほっとした、といふのが随筆の内容。
残虐な日本軍の話が陳さんの口から一切出てこないことに、私はいさ さかほっとしていた。香港市民に、香港ドルと軍票を強制的に替えさせた横暴極まりない日本軍の姿も真実であるかもしれないが、ひとりの穏やかな人間として の鈴木さんの姿もまた、きっと真実であるに違いない。妊婦の陳さんを見舞いに行き、腹巻きを頼む人間像は、香港で流布されている日本の軍人としてのイメー ジとはかけ離れている。
筆者に特段の意図もないのだらうし、寧ろこの話に「ほっとした」のは日本人の本音。がこのテの「語られる歴史」のなかの善意ほど恐いものはなし。秀吉の朝 鮮攻めでもナチスでもイラクの米軍でも「いい人」は、いる。だが “So what?” だらう。「だからどうしたの?」と尋ねられると筆者は何を答えればいいか。なにせ日本軍の横暴は香港ドルと軍票の強制交換などに留まらぬ。で寧ろこのテの エピソードは「作る会」的に解釈され利用される、それが恐い。昼前から晴れる。雲一つない青空。何日ぶりかしら。目に眩しい。目がじつはこの一ヶ月ほどか なり痛む。目が乾き眼球全体に痛みのある感じ。疲れもひどい。一日使い捨てのコンタクトレンズで黴菌などの心配はない。目薬をさし目を冷やし……といろい ろするが晩になるともうたまらない。ついに養和病院の眼科のT女医の診察受ける。診断の結果、コンタクトレンズの度数が強過ぎる、と。そのため眼球と視神 経の疲労。右目は-3.75を-3に。左目は-2.75を-2.25にするように、と。だが4年くらい同じ度数で問題なかつたのに、と尋ねると年をとるに 従い視力が落ちることはあるが、眼球も衰えるわけで強い度数に目が合わせることができていたのがだんだん辛くなる、と。納得。先日また半年分のコンタクト レンズを購入してしまつたが眼鏡屋に電話すると医者の診断なら交換してあげる、と。有難し。早晩にFCCに寄りノートブック上の諸事いくつも済ます。最近 せめてもの自制と飲時チップスだのナッツだのは一切いただかず。帰宅。ホワイトシチューなど食す。中国山西省のワイナリー Grace Vineyard の赤葡萄酒がかなりイケること何度か日剰にも綴りしが先日このワイナリーの白葡萄酒を見つけ赤に比べ「あまり期待できない」予感したが試飲。やはり期待外 れ。あと十年はかかるだろうか。
▼信報に香港政府中央政策組の顧問であつた練乙錚氏の連載はこの日剰でも今年六月にかなり細かく綴つておいたが練氏のこの文章が『浮桴記』といふ題で上梓 され信報に一昨日より浮桴記書序といふ連載始まる。自叙伝的に半生で出会つた忘れ難き人の話。筆頭で紹介されたのが民主党元代表・李銘柱氏。練氏の父は国 民党政府の文員にて国共抗戦ののち香港に避す。家貧ながら連氏学業に優れ九龍華仁書院に学ぶ。大学進学夢見て当時は台湾での進学も考えたが台湾の往復の旅 費の工面もままならず。その時に学校の神父に米国の大学で奨学金制度あり生活費まで補填されるを知り懸命に学業続け奨学生に選ばれる。が老いた父に「学業 も大切だがおまえが大学に進学して誰が家族の面倒をみれるんだ?、米国への往路の旅費すらウチでは出せない」と大学進学より就労促され練氏は絶望の淵に陥 る。華仁書院の親切な神父は学長神父に相談する。神を信じれば必ずご加護がある、と言われた翌日、校長神父が資金援助してくれる人が見つかつた、と報せ。 その人が若手の弁護士・李銘柱氏。李弁護士の事務所を母と訪ねると練氏の話をきいた李氏は一通の封筒を練氏に授け「このカネは返済しなくてもいい。もし逆 の立場になつた時に誰か困つている学生を援助してあげてくれればいい」と李氏。それに涙する母。そして三十年後。香港の民主運動の先頭にたつ李銘柱に再会 した練氏、その当時の話をして礼を述べると「あ、そう、あまり覚えていない……がキミの名前があんまり珍しいからまだ記憶にあるな」と李氏。古道熱腸、右 手的樂善好施、左手也不知道、と練氏。
▼台湾の放言作家・李敖の大陸訪問。北京大学での言いたい放題、清華大学での当たり障りなし、に続き今度は上海復旦大学では厚顔無恥甚だしく中共賛美の弁 舌巧み。香港の民主運動まで取り上げ英国植民地時代は何ら抵抗もせず返還となれば騒ぎ出す、と揶揄。時代的には確かにその通り。だが89年の天安門事件が 香港の民主運動の契機となつた事実を李敖は考慮しているのだろうか。

九月廿七日(火)朝、五時半くらいに目覚め何気なくテレビつけると亜州電視で「人在 江湖」の連続ドラマの再放送中。思わず見入る。実に傑作。まだ若い周星馳など出ていたはず。老人の早起きで得もあり。早晩にふとトラピスト修道院の麦酒Chimay飲みたくなりQuarry BayのEast Endに寄る。深みに嵌るのが恐いがきちんと味わいたい、と思いまず青瓶から赤瓶、白瓶とじっくりと深みのある味からあっさりに飲み比べ。三種とも当然、 甲乙つけがたし。帰宅してドライマティーニ。鱸の粗煮など食す。菊正宗。NHK歌謡コンサートなる番組見る。男の哀愁、だかがテーマで内容はどうでもいい が演歌であるとかムード歌謡、恐らく大阪万博あたりを境に「ダサくなつた」と思えてならず。それにしても演歌はなぜ傷心で「北へ」旅するのだろうか。南に 行けばいいのに。なぜ北海道は舞台になるのに、タイを舞台に「肌にまとわるドリアンの匂いもつらい〜」はダメなのか。「まえも見えない雪つぶて」を「まえ も見えないスコールの〜」で金子光晴でもいいと思うのだが。でもどうしても「北へ帰る人の群れは誰も無口で〜」が南へ帰る人はみんなおしゃべりで明るそう だから演歌にはならないのかしら。寝酒にMacallanで明らかに飲みすぎ。だがどの酒も実に美味。ところでChimay麦酒のHPに日本語で「知識と 醸造される麦酒は知恵と味わわれる」と格言あり。意味不明。Una cerveza elaborada con saber se toma con sabiduria.で「叡知に基づき醸造される麦酒は智慧とともに味わわれる」で納得。
▼日本のある知人からいただいたメールに香港鼠楽園での大陸からの観光客のマナーの悪さについて言及あり。なぜ知つているのか=日本のマスコミがその悪習 をば紹介する由。事実は事実だが日本で放送される「だから中国人は」と偏見となる。鼠楽園といへば今度は韓国ソウルにも開園計画中。鼠天下もいつまで続く か営業に欲出して鼠楽園がウケるのはどうせアジアだけ、と開き直りで各地に小ぶりの鼠楽園建設。だが米国だの東京だの、なかなか行けぬから期待も感動も大 きなわけで、そうあちこちにできれば鼠の市場価値下がるだけの気がするが。どうせなら平壌に鼠楽園建設し米国帝国主義文化が如何なるものか北朝鮮人民に見 せることもありかも。
▼宗教の信心とは大したもの。立法会議員の広東省視察で、あれだけ中央政府に従僕なる行政長官Sir Donald敬虔なるカソリックにて広州にても宿泊先のWhite Swan Hotelから月曜日朝、沙面の天主教路徳聖母堂に参拝し祈祷。民主党元代表の李銘柱も同行。中国政府にしてみれば何かと面倒な対カソリックの関係で Sir Donaldがわざわざ視察旅行中に教会で祈祷はけして嬉しいことに非ず。
▼マカオ特区第3回の立法会選挙。投票率は58.39%。直選12席と間接選挙10席の計22議席のうちカジノ業界代表が7議席とさすがマカオ。7人のう ちにはカジノ王Stanley Ho氏の四番目の妻・梁安琪の初当選も含む。民主派の民主新澳門から呉國昌が投票総数13万票弱のうち23,472票でトップ当選。民主新澳門はもう1議 席獲得。澳門の場合これに行政長官が任意で指名の7議席が加わる。当然子飼いばかりの人選で澳門の政治的安定が図られる、か。
▼北京の地安門西大街71号に香港特別行政区政府駐北京辧公室が完成。四合院の建築多く残る一帯でこの辧公室も四合院ふうのかなり凝ったつくり。で当然 HK$八千七百万ドルも費やし建物完成してもまだ立法会で正式に支出は承認されておらず。

九月廿六日(月)霪雨。朝日の天声人語もたまに「ためになる」話あり先日の総選挙で の小選挙区の票数は自民公明両党の3350万票に対して非自公票は3450万票。つまり小泉郵政改革は支持されたのではなく寧ろ支持せぬ者が100万人も 多し。だが選挙結果はかの通り。勿論、比例区では自公票のほうが多いのだが選挙結果がまるで民意の総意であるが如く小泉三世の口から語られることはインチ キに他ならず。IHT紙は一面トップで江沢民の軍事委主席辞任による胡錦涛への権力全面移行につき江沢民の舎弟筋にある曽慶紅が胡錦涛体制に組みしたこと が要因、と報道。一時は江沢民の後継として名の挙がった曽慶紅が覚悟決めての胡錦涛支持で国家副主席に甘んじる。まぁ当然あつて当然の北京政治劇。少なく とも共産党内部で領袖にならむと動きがあるだけ首相独裁の自民党よかまだ健全かも。早朝に北角波止場のバス乗り場で東空より黒雲にわかに襲ひスコールの如 き雨。逃げ場もなし。香港鼠楽園行きのR11バス始発がエンジンもかけず停車中で、その後尾のバス陰に隠れれば東からの強風で横殴りの雨に傘もいらず。米 奇鼠に拯けられるとは情けないかぎり。ふと思えば鼠楽園行きのバスが北角始発なのも偶然に非ず。北角といへば中国からの香港旅行客の宿泊集中地。ここから バスで鼠楽園への客当て込んだ始発。昼にHappy Valleyの日本料理・慕情に食せば香港猛虎会の酒樽据えられ阪神優勝に向け秒読み態勢。例年なら中秋過ぎれば天高き秋の晴天が暗空を強風に煽られる大 雨にただ驚くばかり。Octopus Card紛失。朝のバスの中でだらうが気づいたのは夕方。Octopusでも残額なくなれば自動的に口座より振替されるカードがため危険も多し。慌てて Octopus Card会社に電話。HKID No.と生年月日入力せば自動的にCardを即座に失効させること可能。日本では到底考えられぬ方便。翌営業日に電話一本で10日後には再発行カード送ら れる手順。諸事忙殺され晩十時になり晩の食欲失せ帰宅。十一月の香港マラソン何を勘違いしたか昨年に続きフルマラソンに応募。それを思えば減量にいいか も。この応募もオンラインで三分で完了。先日、日本のVodafoneで支払いクレジットカードの変更する際の面倒思えば簡単至極。Vodafoneはよ うやく日本の実家にクレジットカード変更手続きの申請書が郵送で届いたところ。安全のため、手違いを防ぐため、と2で済むことに9、10の無駄な労力か け、その手間とコストのために雇用と流通が促進されて成り立つ経済。もつと大切なこと、時間がいくらでもある筈に無駄ばかり。
築地 のH君三週間の仏蘭西から葡萄牙の旅より昨日帰朝。もう新聞を読む気もせぬ、と。先の総選挙で自民党圧勝の「被爆」せずに済んだことだけでもH君は幸甚か も知れぬ。
▼天安門事件以降初めての本土入境となる民主派含む立法会ご一行の広東省視察旅行終わる。本土に入る際の、皇崗のイミグレなど香港市民にとっては何ら珍し くもない場所。寧ろ仕事で連日の如く通る者には(日本人も含め)うんざり、で香港の男性諸君にとつては「ちょっと抜きに」手ぶらでお気軽に深センにお出か け程度の場所が民主派議員にとっては「おーっ!」と絶叫。最初に訪れたのが世界の名所のミニチュア集めた「世界之窓」なのだから。89年以降の16年の民 主派議員の世間とのズレは小さきものに非ず。
▼九月五日のIHT紙からの切り抜き。Anne Riceなる作家がハリケーン被害のNew Orleansについて書いている。“What does it mean to lose New Orleans”から引用。
To my country, I want to say this: During this crisis you failed us. You looked down on us; you dismissed our victims; you dismissed us. You want our Jass Fest, you want our Mardi Gras, you want our cooking and our music. Then when you saw us in real trouble, when you saw a tiny minority preying on the weak among us, you turned your backs. Well, we are a lot more than all that. And through we may seem the most exotic, the most atmospheric and, at times, the most downtrodden part of America, we are still pat of it. We are Americans. We are you.
と。最後がお決まりの「我々は米国人だ」になつてしまつているが、ハリケーン被害での救済であれだけ裏切られてもまだ米国に対するこの希望。新天地ゆへも うここから先にはexodusできないのかもしれない。

九月廿五日(日)霪雨。朝寝貪る。昼にバスで旺角。何が用事あるでもなく雨空を漫 歩。楽園牛丸大王に牛南麺食す。旺角では此処ばかり。店員が 粗野な中年男ばかりであつたのがお揃いのエプロンの女性ばかりに。男衆は何処に掃いて捨てられたのか。野営系運動具店何軒か覗く。山歩きの小物購入。ミニ バスでホンハム。赤ミニもオ クトパスカード使用可。ジム。一時間筋力、もう一時間有酸素運動。暴雨。昏時フェリーで中環。雨を避けビルからビルへ空中回廊抜け通り抜けやうと The Landmarkに新装開店のHarvey Nichols百貨店に入ると見慣れし青色が目立つSmythsonの文具売場あり。香 港ではLane Crawfordだの英文書店が時々Smythsonの手帳など年末だけ扱ふが長続きせず愛用者はメールオーダーに頼る。パナマ型の手帳など見ているとお 隣にW女史のお姿。ご挨拶。まぁお元気?、香港にSmythsonが出来るとはねぇ。でも今はもうこういう手帳とかきちんと使う人も減ったんでしょうよ、 とW女史矍鑠。W女史でもHarvey Nicholsは今日が始めてだそうで「こんな天気が悪いと空いていてお買い物は樂よね」とW女史ともなると何事もプラス思考と敬服。FCCでフィリピン 産のサンミゲル一瓶とハイボール一杯。帰宅してNHK大河ドラマ「義経」見る。今頃になり岩波『世界』7月号など読む。佐藤優の連載「民族の罠」の面白 さ。佐藤優氏は宗男議員絡みで現在は起訴休職外務事務官。現在もまだ連載中。必読。第一回の連載から書き抜きせば
日本が包囲されているという自己意識は「日本人が正当な主張をして いるのに、その言説に周辺諸国が耳を傾けないのは不当だ」という被害者感情につながりやすい。ナショナリズムが強化されるときは、必ず「他者によってわれ われが不当な取扱いを受けている」という「負の感情」による連帯が生じる。特に高度に発展した産業国家、平たい言葉で言うと国力の強い国家で「負の感情」 による連帯を基礎にするナショナリズムが感情的になると、それは「われわれ」以外の人々を積極的に排除する排外主義的ナショナリズム(ショービニズム)に 転化する。(略)日本では、社会は世俗化、個人主義化しているにもかかわらず、対北朝鮮関係、対中国関係を巡ってはある種の集団的被害者感情が存在する。
まさに今の日本で最も恐いのが、この「負の感情」による連帯。具体的に何もわかつておらぬがマスコミを通してモニタに映る中国とか見てると「むかつく」の がそれ。で実は社会的弱者であるが、それを認めたくないから、敵が必要となる。だが自分は太刀打ちできぬから強く見える政治家、石原や安倍が誇らしく思え る(実は彼らもその弱い自我の一員なのだが)といふ構造。
ESF(English Schools Foundation)のClearwater Bay Schoolが香港鼠楽園への「課外授業」実施計画し保護者からも「教育目的があるのか?」と疑問の声。Marian Eastwoodといふ校長は“People are entitled not to let their children go, but they're not entitled to try to stop the majority going”と強気の姿勢。乱脈経営で政府援助削減されれば経営破綻必至のESFは教員の厚遇もリストラの対象となり一律給与1割削減打出し教員側は反発 し時限ストも辞さぬ構え。海外から招聘の場合、6年教員経験があると手当だの込みで年収HK$150万となり豪州で1500人規模の学校で30年教育経験 のある校長の2倍で英国のイートン校などの校長よりも高給とか。植民地ゆへの享楽ももはや限界。
▼朝日一面トップに「海自薬物汚染」とあり我が国の海上自衛隊の戦艦が薬物で汚染されたのか?、テロの仕業か?と思えば、たかだか大麻や合成麻薬の使用で 6名の逮捕。「潜水艦隊の乗組員に薬物が広まっている」で「汚染」。「県警は、隊員らはいずれも潜水艦に乗り組む合間に陸上で薬物を使用していたとみてい る」って当たり前。潜水中に一服は能わず。海自も「武器を扱う集団が薬物に汚染されていることは危険」とコメントしているが、一服して潜水したら海の中は さぞや美しいことであらう。お魚さんたちと会話できたり。で武器を所持していてもて大麻なら抗戦意欲もなくなるから、実は安全。シャブは困るが自衛隊員の 大麻は平和への第一歩。シャブといへば民主党のシャブ議員がいたが国会議員など国会で居眠りしている姿を見れば覚醒剤でもキメて大いに論戦を張つてもらい たいところ。
▼飯沼二郎・京大名誉教授逝去。享年87歳。農業経済学者で人権・平和運動に取り組み87年の君が代訴訟の原告代表。これからかういふ人が国立大学の教授 などなれぬ時代か。
▼中国の田舎政府の小役人らのバカさ加減は今更驚かぬが給与は上がらず贈収賄は極刑で、で何に走るかといふと公費乱用。田舎政府の建物の豪華さ(成金趣味 でとても下品であるが)。全国で小役人どもの「公用車」購入が全国で年間3000億元、とくに最近のお気に入りはランドクルーザーでトヨタが大人気(こち )。価格は中国で 70〜80万人民元で高税もあるが日本円では1000万円超える。政府国務院規定に照らせば部長(大臣)級の公用車基準価格の二倍以 上。中央ではそうだが地方は地方の裁量。中央集権のようで、この実際の地方自治(笑)。かつてはベンツや黒塗りがお好きだつたが黒塗り=仕事せぬ接待オヤ ジ、の印象強くクルーザーであれば、いかにも「道路も整備されておらぬ山奥まで人民の生活水準向上のためお仕事」っぽい。実際に一雨で水の溢れる市街もク ルーザーなら市政府の潅漑整備の遅れも気にせず走れるし週末の家族でのお出かけにも便利。広州南沙にトヨタ自動車の大型工場建設されたが中国で公用車の占 める割合はかなり大きいはず。その地方政府の豪奢ぶりのかげで義務教育での本来無償のはずが教科書代など「雑費」高騰続き全国で失学児童が2000万人。 北京では小学入学で991元の雑費に保護者が義務教育法に基づき教育無償を提訴するが雑費は政府の管轄外として取り合われず。雑費払えぬだけで授業を受け ることも能わず教室での授業を入り口から覗き込み授業受ける少女の姿。世の中、この極端な拝金主義。

九月廿四日(土)台風余波にて警報3となる。朝六時過ぎに起きてしまひ窓が雨に濡れ たを幸いに窓掃除。机まわりの片づけや二ヶ月も前の新聞切り抜き読み直し。ニコンF2の露出計の使い方など復習。なにせマニュアルのカメラ使ふのは廿年ぶ り。露出補正のないカメラとなると大学生の時に中国をバックパッカーで数ヶ月旅した当時の父に借り二コマートEL以来。先日ソニーファミリークラブに注文 の銀座タニザワの 散歩カバン届く。朝日の日曜版とか十代の頃にこのソニーファミリークラブの全面広告あり紳士小物や健康器具などオヤジ臭い商品を眺めながら「これに注文す るようになつたら人生終わりだよな」と思つていたが先日、文芸春秋の十月号だかに銀座の一流品特集でトラヤ帽子店のニット帽などと並びとタニザワのこのカ バンあり。小型のカバンは競馬観戦に便利でずつとHunting Worldのカバンを愛用したが十年近く経ち外の素材もだいぶ疲れたが何より内側のウレタンのような材質の劣化著しく使い物にならず。それは当時、父母を 台湾に招き北投の温泉の日本風旅館に泊まつたりした折に航空券まで日本に送つたら父が恐縮し台北の免税店で「何か買え、買え」と勧められ買つてもらつたカ バン。もう実用には耐えぬが先考の思い出のカバンとなつてしまひ捨てられず。で競馬観戦や散歩に丁度いいカバンがない、と思つていた矢先にこの銀座タニザ ワのカバンを見つける。昔の老人なら財布と煙草入れ、老眼鏡くらいで良かつたが最近の老人には携帯電話とデジカメといふようなアイテムがいくつか増えたわ けで、このカバンは20cmの縦横に対して幅が8cmと深いが見た目がけして下品な厚さにならぬのがさすがタニザワと思わせる。天気は悪いがタニザワの散 歩カバンを肩にかけ気分は楽し。土曜の午後。北 角の港運城(Island Place)横の琴行街に行列のできる焼き菓子屋あり。昔からの味も素っ気もない焼き菓子なのだが。いつも行列で試す気にもならぬが折からの悪天候にわず か二、三人しか並んでおらず。さくさく感は確かに他よかずつとあり。午後遅くFCCに寄りステラアルトワを飲む。テレビで競馬中継あり丁度ダートの Class-3のレースに馬主 C氏のDashing Championが出ているが単勝14倍でさすがに厳しいがClass-3で悪天候のダートならDCがかなり期待できるのは確か。複勝とワイド、それにご 祝儀で連複も携帯で購入。八位くらいで終盤迎えスピード落ちたかと思えば最後の直線で入賞?と思えば三着も狙い「マジ?」と思ふ間に二着。お見事。さすが にタニザワのカバン代になるほど世間は甘くないがそれなりの配当いただく。昏時、香港大学でZ嬢と待ち合せ九月九日に講演を聴いているHedda Morrisonこちら)の写真展。大きく 印画された実に 精緻な写真を見入る。カメラはRolleiflex(こちら)と知り「なるほ どなぁ」と納得すると同時にピークや九龍の山から撮影の写真がまるで飛行機からの鳥瞰写真の如く「撮影者の位置が出張つている」のが何故か、かなり不思 議。本当に空を飛んでいた魔女ぢゃないかと思わせるくらいHedda Morrisonの写真は凄い。掲示されているHedda女史の略歴を読む。1930年代に25歳で北京に赴いたのが広告での見た北京のドイツ人経営の写 真館の撮影技師募集の広告であつたといふから驚き。北京でこのHartung's Photoshopとの雇用契約終わり……で「えっ!」と思わず声を上げてしまつたのだがHedda女史が北京で出会ひ結婚に至る男性Alastair Morrisonは当時珍しい北京生まれで、その父がGeorge Ernest Morrisonとある。これでドイツ人のMorrison女史が老後、豪州に住まい臨終迎えたも納得。George Ernest Morrisonは倫敦タイムズ紙の北京特派員で漢学者。中華民国総統府顧問務めた豪州人で何よりも岩崎久彌がMorrison氏の蔵書購入し、そのコレ クションが今日に残る東洋文庫。昨日偶然に断鴻零雁記のことで 東洋文庫の名を挙げたがまさかHedda女史が東洋文庫にまでſ