12月30日（土）快晴。雲ひとつない青空の下で橋本『源氏』寄生木から東屋、光源氏が亡くなってから薫の君と匂宮を中心とした『源氏』はちょっとたるいが薫の君と匂宮が中の宮からみで関係がぎこちなくなってからはまた面白くもあり。『噂の真相』東京ベログリ日記は完全な選挙遊説、確かに毎日はそれだろうがPGどころかONもなし、康夫ちゃんは正月に私費で欧州旅行と新聞に報じられていたがＭ嬢とか一緒なのか……かつてはイニシャルとはいえ半ば公開のペログリ日記ありマスコミも報道価値なしとしていたが長野県知事とあってはマスコミも欧州でパパラッチしかねず、康夫ちゃんのことだからアルファロメオかなにかレンタカーにてイタリアからフランスへの山道ででも派手な追い駆けっこして事故でも起さねばいいが。新聞にBang&Olfsenのウォークマン用ヘッドホン広告があり早速B&Oにて購入。HKAAAに藪用あり道すがら先日週刊香港Ｋ氏とワインに泥酔した店はGo Go BarではなくGo Go Cafeであることに気づく、Go Go Barでは正しくソレである。灣仔馬頭餃子を陳年加飯の紹興酒でいただく。
12月29日（金）快晴。寶雲道から黄泥涌を経て陽明山荘の麓から今日は紫羅蘭山に登らず紫羅蘭山徑を引水路に沿って走り続け、14kmか、淺水湾、いつもながら引水路を抜けて「サウスサイド」に出た時のいきなり淺水湾の海岸が眼下に広がる瞬間は見事、淺水湾凹から海に出て橋本『源氏』寄生木の巻を読むが微睡んでばかりで進まず。一旦帰宅して沙田、仙台時代に世話になった番組制作プロデュース会社Ｇの社長Ｂ氏が最近香港を足場に広東で生産拠点を充実させている光ファイバーとかの（東証でも最近上場したＭ社関連の）Ｕ氏……このＵ氏がＢ氏とＧ社を立ち上げたのが20年前か……に誘われ来港、今日は深センの工場見学してＵ氏と香港に戻るというので沙田で待ちあわせ、ということでＢさん待ちでＺ嬢とスヌーピーワールド参観、ウッドストックのカレンダ購入、ＢさんとＵ夫妻と合流して299番バスにて馬鞍山を見学しながら西貢、通記酒家にて海鮮宴、西貢はトレイル関係で頻繁に足を運んでいるが海鮮となると全く縁がなく、仕事関係のＬ氏に紹介された通記だったが同じ名前の店がバス停から最初の角にもあり危うく入りそうになる。海鮮ももっと注文が上手くできればいいのだが。Ｂさんの優しさはかつての青年実業家のギラギラがとれて更に優しきもの、いい人だ、ほんと。毎度の長距離バス乗り継ぎにて帰宅。
12月28日（木）G4がようやくコナレテし……さういふと信じぬ輩多かれど立ち上げては凍り立ち上げては凍りと続けるがうちに安定せばずっと不調であったSCGIの不通ももしや解決せんばとドライブをEpsonのサイトよりダウンロードし漸く通じスキャナ作動す。昨日購ったiFlash2台のうち1台が接触不良にてCarblexにて交換す。これにてデジカメがSmartmediaよりの画像移動が容易となる。朝日新聞に来春三津五郎を襲名す八十助の記事、先代の三津五郎より踊りは八十助のほうが上とも思え、襲名でも玉三郎との「喜撰」、勘九郎との団子売に二月は奴道成寺と越後獅子と流石に踊りが目立つが課題は曽我対面で曽我五郎をどうこなすか、か。仁左衛門襲名より早二年、この三津五郎……三津五郎といえば八十助の祖父にあたる八代目が河豚に中毒って亡くなりしはアッシが幼稚園児の頃、祖母の驚嘆せし姿は未だ忘れ難し……それに続き勘三郎、海老蔵か。襲名といえばウチの猫は三平というがもう六歳、こぶ平だったら三平を襲名させてもいいが、三平といえばアッシは個人的には好かぬが落語では名跡、師匠は先代の正蔵だが正蔵じゃちょっとねぇ。
12月27日（水）Mac環境がUSBになり現有せしデジカメもプリンタもつながらなくなってしまひ皇室大厦はCarblexにてSmart Card用のアダプタとUSB&SCGI変換ケーブル購う。旭屋で木樂舎の『ソトコト』の定期購読を申し込む。晩方香港イバラキッズの代表Ｍ氏と銅鑼灣は湾岸グロチェスタ道に面した Tokyo Dine の268なる店、かつて中環はBank of Americaの地下にあったAsahi Super Dryの店を彷彿させる日系パブで最近でいえば銅鑼湾ならキリンシティのような、つまりは麦酒会社の冠をいただいたような和風西洋パブなのだが、個人的にはやはり朝日麦酒のドライの美味さが理解できず、その上、どうしても揚物系が多いメニューでサラダオイルで揚げた品が苦手で、つまりあたしゃドライで揚物を喰うと気持ち悪くなる体質のようだ……といいつつ本当に美味しい麦酒があってミートクロケットとか肴に、電気ブランをひっかけて、ってのもかなりオツなんだけど……と思っていたら経営者は旧知のＯ氏。ちょっとというか一番気になったのは麦酒を頼むと生麦酒がジョッキでなんだけど頼んでから10秒後くらいに出てきてしまうのだ、麦酒のディスペンサー……ってこの言葉、なんかキャッシュディスペンサーでイヤなんだけど日本語でなんというのだろう、確かに麦酒の原液と水を混ぜるからディスペンサーなんだけど、それじゃなんだか美味しくないよね、混給塔ってのは意味でいいんだけど音と字が汚いし、いっそのこと仏舎利にしよう、そう仏舎利、本来ディスペンサーってのはそこから最高の麦酒が溢れ出てくるんだから仏舎利なんだけど、アサヒのドライになるとほんとエスプレッソマシンのような正にディスペンサーで一気にそれなりの生麦酒が注げる、ほんとなら職人的給仕が素晴らしい注ぎをして最高の飲み手がぐいぐいとエンジェルリングをジョッキに残してこそ生麦酒なんだけど、そんな数秒で素人が注げるんだから美味しいはずがない……日本人倶楽部のサンミゲルの仏舎利と注ぎ手がやっぱり見事って思うし、そんな簡単に注がれた麦酒が美味しいはずがないわけで、麦酒が余りに消耗品的に扱われてて敬虔さがないのが気になった次第。麦酒といえば中環はハリウッドロードにあったBrezel Haus、クリスマスイブの前日にバスでハリウッドロードを通ったら夕方なのに閉まっていて、こんな掻き入れ時に……まさかっ廃業？と思い電話してみたら電話はツーと不通、廃業したみたい、すごく美味いワルシュタイナーとErdingerを飲ませてくれる店で、そのかわり注文してから五分派待たされて仏舎利からじっくり抽出した麦酒が供されたんだけど、今はCXでフライトアテンダントしてるＰ君とドイツ人のＷ君のいれる麦酒は最高で、週に二回は行っていたし、土曜日の夕方、外から覗くといつもカウンターにアッシがいるとＺ嬢にも笑われていたが、彼らが辞めてから途端に麦酒が二分で出てくるようになり味は著しく落ちてそれっきり行かなくなって半年余、南無。帰宅して口直しにSmirnoffをライムジュースとソーダで割り、ちょっと回復してモルトでBowmore。所得税の税額通知受領、毎年こうしてこれだけ納税しているのだから市民として権利は充分に受益した上で堂々と香港政府には厳しく対処せねばと思う。『信報』の2000年香港政経大事回顧は「打倒董建華の声の中で北京が董建華連任を支持」「鐘庭耀事件で香港大学長引退」「程介南立法議会の議席を放棄させられる」「江主席が香港記者を簡単幼稚と怒訴」「住宅公団の王主席が醜聞にて下台」「警察が学生を逮捕して公安条例争議」「董建華が住宅建設目標八万五千戸目標は98年には既に存在せずと言い訳」「Immigrationで多災多難」を挙げていた。それにしても嗤えたのは董建華の八万五千戸事件で98年当時の施政方針の骨子を今になって達成不可能となったら事実改竄で98年時点でその目標はすでに消滅していたという、そんな言い訳はガキでもせぬが、その董君の連任を支持する北京も北京（嗤）。大塚隆史『二丁目からウロコ』読む。大塚隆史はアッシが高校生の頃ラジオの「スネークマンショウ」にて水曜日だったか大塚君がゲイ番組していて、それより前には中学生の時に読んでいたポパイで「千夜一夜物語」って連載をしていて、実は今回この本で知ったのだけど桑原茂一氏がスネークマンショウに大塚君を引っぱったのはこの連載を読んだことが契機だったそうな。「スネークマンショウ」といってもYMOとLP化したやつじゃなくてラジオで放送していてスポンサーともめてわずか二年弱で中止した番組、これと中学生の時に読んでいた『面白半分』と『ビックリハウス』がおそらくアッシの思想形成の中で相当の比重を占めていると思うのだが、大塚君のこの本は悲しいかな彼は書き手ではなく翔泳社という小さな出版社でおそらくちゃんとした編集者が傍なかったのだろう、文章はイマイチでとくにマトメになると急にですます調になる下りはいただけない。
12月26日（火）快晴。Ｚ嬢とまたも西貢、今日は北潭凹まで入りトレイル三段で牛耳石山から鶏公山を登り企嶺下まで三時間半とゆっくりトレイル。企嶺下から自宅までじつに四本のバスを乗り継ぐ40km近い移動にて西貢にてビールで補給、灣仔はＱ麥坦々麺、大辣の坦々麺ばかりか紅油炒手まで夕方の小食だというのに、しかし何時食べても絶っ品ーン！である。一旦帰宅ののち、仲間内にて天后は利休にて忘年会、利休の御亭主より香川は琴平の金刀比羅宮にあやかり清酒「金陵」を祝儀御礼といただき鍋を賞味、うどんはやはり此処にかぎる。
12月25日（月）快晴。昨晩のワインがちょっと残っている気怠さ乍ら陽明山荘からウィルソントレイルは紫羅蘭山を越えて「サウスサイド」、陽明山荘から淺水湾凹まで30分を切る登り早足とフラットおよび下山は駆け足で、我ながら初めてここを歩いた時の疲労を思えば感動に咽ぶ。海にて午後陽射しも肌寒くなるまで橋本『源氏』は寄生木の巻。夜はこの界隈に転居を所望しているＫ夫妻が愛娘のＡ嬢を連れて拙宅を訪れカナダはナイアガラ半島Peller EstateのDry Risslingなる1999年の白を持参され冷えていないが飲めるとワインセラーにて勧められたというが納得の甘口、どちらかといえばデザート系か。美輪明宏『紫の履歴書』最後のほう走り読みしていた部分を読み返すが前半のデビューからメケメケ当時までに比べ後半の波乱とドツボ、佛による救済はちょっとツマラぬと思う、天井桟敷での「毛皮のマリー」公演のあたりはもっと逸話が多いはずなのだが……。
12月24日（日）快晴。朝食のクロワッサン、ふと目を離した隙にＳ猫が舐めていてバター犬なるものは存在せいもののバター猫は如何なものかと思う。Ｚ嬢と坪石（MTRの站名：彩虹はどうも頂けず）から西貢経由にて企嶺下より九曲山を経て馬鞍山に登る、昴平から芙蓉別を経て三塊田に下山。熱くも寒くもなきトレイル日和、ほぼ5時間にてのんびりと。昨日Yung記にて焼鵝と白切鶏、皮蛋を外賣して帰っており今晩は年の瀬の歳時とSt-Emilion は Chateau Figeac 1994をゑいっと抜栓、キリスト者が聖誕祭を祝うが如く何故かここ三年は（この季節、旅行もせぬこともあるが）ふと思えば毎年、Yung記の焼鵝、キリスト者でなければ聖誕祭を祝う筋合いもないものの食材屋にて鴨だ鶏だと聖誕祭のための肉料理を見るにつけYung記の焼鵝のほうが美味いとおもひ、香港の地場の粤菜としては認めたくない肉厚のYung記の鵝もフランス料理と思えば格別、それでここ数年このようなことになっているが、今回は昨日Yung記にてすでに包丁をいれて切り刻まれたため今晩は肉汁が完全に漏れきってしまい味覚半減と失敗る。それにしても格別はYung記の皮蛋、これをそこそこの赤葡萄酒にて食した時の光悦は至極、もし香港を離れ誰かに香港で何か買ってくるかと問わらば間違いなく所望するはYung記の皮蛋か。焼鵝と白切鶏にかかった汁の出汁か小豆の煮物が雑ざっているが今まで食べもしなかったが試すとこれもなかなかイケてクラッカーに搭せて食せばイケたもの。ランタオ島で二週間前のバス横転事故に続いて又も道路が狭いことを原因としたかのような事故、大嶼山の道路網拡張が論議される中でまるで終戦直後の国鉄の三河島事故か不穏な事故が続く。あたしゃキリスト者じゃないのでクリスマスなどどうでもいいのだが浅草羽子板市くらいに歳時なのは英国女王の無表情なクリスマスの祝辞、彼女がいくら言葉を羅ねても祝言になりゃしない無感情ぶりは寒く暗い英国の冬の風物詩よ、かつて香港ではクリスマスにあの祝辞がテレビで一斉に流れたものが今は悲し、BBCのWorld ServiceかInternetでしか拝めず、この女王陛下の聖誕節の祝言、別に気にもとめていなかったがこれを聞くほど暗くなると教えてくれたのはBBCの某地特派員のＤ君、英国に女王陛下の誕生日が祝日でもないのに香港にはあった、とも。東京都知事石原が背広を着ずに紺色のブルゾンのようなものを羽織っているのはありゃあれでいいがふと気づけばあのブルゾン、着ているのは石原、金正日と李光耀と世界になだたるファシストと判明（笑）。森の諮問機関で江崎玲於奈君が座長する教育改革国民会議なる似非団体が教育基本法の見直しを提言、「人間性豊かな『日本人』を育成する」とはいったい何の戯言か、人間性豊かな朝鮮人と日本人でどういふちがひがあるのかノーベル賞を獲た江崎君に答えてもらいたいもの、この骨子じたい違憲である、違憲！、日本国憲法は普遍を所望しているのであって民族により異るような人間性など違憲、だいたい人間性などという言葉を骨子にもってくることじたい発想が貧困だが、中身も同等にCheap！、「教育の原点は家庭にある」ってその家庭が崩壊しているのに……、「学校は道徳を教えることをためらわない」も万笑は「ためらう」というのは「あれこれ迷って決心がつきかねる」ことであって「ためらわない」はつまりきちんとした理由理屈は明確にできないが「ええいっ！、やっちまえ」が「ためらわない」、つまり道徳を教えることに江崎君筑波大の学長までしている知識人でありながら道徳に根拠も見えないのに「ええいっ！、やっちまえ」か、江崎君はノーベル賞など返上すべきである、と思いつつ、ノーベルなる爆弾オヤジが学者としての良心の呵責で創設された自己弁明のための賞、この程度か、焦点となった奉仕活動の義務化は見送られたものの「全員が行うようにする」って義務化と何が違うのか、どうせ君が代日の丸と同じで数年後には法制義務化は目にみえたもの、どうせなら義務化してそれに応えるような青少年には自民党のロビーの清掃活動でもしてもらいたいもの。
12月23日（土）快晴。気温15度なれど陽射し強く昼の暖さ期待し新聞三紙と数ヶ月溜まった雑誌：FEER、BT、Brutus等々をバッグにつめて外出。FilofaxのOrganizer修理を尖沙咀はSwindon書店の事務所に依頼しに訪れば八年か旧知の同書店営業担当のＤ嬢受付傍の机にて仕事中、毎度も70年代後半の少女漫画、清原なつのか、に出てくるような知性をかもし出す彼女と暫し談笑。九龍公園を抜けると游泳池は屋外は水抜き修繕中だが一部日光浴用に確保され一瞬入ろうかと思うがどうせ午前の部では読みきれる量の雑誌ではなく佐敦のジムの屋上にて日光浴しながら夕方まで雑誌読破。BT誌で恒例のエアライン等の読者投票の結果掲載、SQの殆ど独占は致し方ないとして（不満はあるが、あの悪酔いするほど濃い給仕ぶり）アンセット航空の三位は見事、かつて10年前かＺ嬢とMerbourneからPerthに飛ぶ際に在豪の友人Ｍ嬢がとってくれたフライト、案セットと聞いて What's that? だったものが decade にして今や亜洲と環太平洋では押しも押されぬ一流、ANAはそれをどう見習うのか、大韓航空のエコノミー一位は搭乗未経験で予想もつかず総合5位まで浮上はソ連も北朝もなくフライトが安全との評価か、かつてトップ10の上位に顔を出さんばかりだったANAは13位のJALに続き14位とじり貧。夕方メドとした雑誌読破して中環、Ｚ嬢と太子大厦はOliversのワインセラーにて待ちあわせ、ラムはあたしゃずっとMyersなのだが仏領西印のDillonという濃ラムと邂逅（帰宅して味わうとMyersより更に濃厚でコクがありMyersの甘みが厭な時には好！と一期一会）、Olivers傍のWarnacoというクリスタル屋にて英Dartington社のクリスタルのデカンタを購う。帰宅の途中、ハリウッド道のBrizel Hous、聖誕節の前日にして閉まっており、ふと閉業か、と、単なる休業日であればいいが、かつては香港で絶品のドイツビールを供してくれ贔屓にしていたがバーテンダーがかわったらそれまで注文してから最低5分は待たされたワルシュタイナーやErdingerがまるで麥當勞のようなスピードで供されるようになり当然の如く味もかなり劣化し足を運ばなくなっていた。帰宅。辛丹波の超辛口で湯豆腐すれば辛丹波の味の劣化、おもひ起せば銅鑼湾三越地下にPark'n Shopが開店して祝儀で購いしは8月、すでに3ヶ月半はこの熱帯の気候では日本酒には酷。またも中国からの貨物船のコンテナで密境、コンテナはまるで公共交通機関か。快活谷の昼競馬、慌ただしさ甚だしく予想もできず第9レースの心之靈（New Asian）のみ単勝と複勝にて購入すればギリギリ三着でトントン。三島由紀夫『十代書簡集』（新潮社）読了、軍国主義に厭世感の公威青年、戦後の右傾化は相いれぬ気もするが、惟ふに、公威君は日本は対米戦に負けると開戦直後から察していたが、彼は將か彼の信奉する日本の文学が文化がたかだかアメリカに負けたとしても戦後あそこまで打撃を喰らうとは、まさかあそこまでカムカムエブリボディで日本がアメ帝文化の翼賛体制になるとは想像もしていなかったのではなかろうか、そして敗戦後その現実の中で彼が望んだことは日本の文芸の復興であり（彼にとっては）、そのために努力したが世はどんどんと非日本化していき、ついに文芸では彼独りでは限界を感じ、そこで武力を辞さぬ革命を興し「国民」に決起を促したのか……と些か同情こそすれ、所詮、公威君にせよ『羊の歌』でメーメーの加藤周一君にせよ、右も左も1945年まで何もしえず、だからこそ戦後も何もできなかったまでのこと。 おっと不敬、忘れていたが天長節、今上天皇におかれましては畏み候、戦後民主主義のおそらく一番骨子たる部分を樋口陽一教授や井上ひさしと同世代として強く心に刻み、立法行政の悪しき思惑も何のそのと、強く日本国憲法の精神の遵守に言及する天皇は個人的に偉い（だから天皇制を賛美するものではないが）と思ひ、ワイオミング夫人を宮中に喚ぶなどだから三島由紀夫が怒るわけだがそれをした昭和天皇の長嶋的アバンギャルド性も凄いし、浩宮様におかれても今どきあんな誠実な青年この世にいないよ、と呆れるほど天皇家三代に唖然とす、お見事。大寒に二日遅れて柚子の風呂、柚子は東大和より贈られしもの。
12月22日（金）14才にて社会に出て80年代からの香港バブルにて不動産で一世を風靡した神童輝こと羅兆輝、尖沙咀の悪名高き重慶大廈にて死に体だった低層部分を買収し低俗ながらショッピングモールとして再開発し場所柄ゆえの価値を市場に認識させ転売で利鞘を得るなど単なる土地転がしのバブル成り金とは一線を画していたがアジア通貨危機にて失速、昨日、銅鑼灣沖の時価30萬美元のクルーザにて炭焼して危篤、南無。公安条例を強いる保安局長の葉劉淑儀、日に日に顔にケンが出てきての形相、遂に自らを孟子と誤解、蘋果日報の尊子の一コマ漫画、パトカーに轢かれ下敷きとなった公安条例反対の男に葉局長が「何か言った？」と尋問。中文大のＣ先生から先日電話があり先生の主催する香港研究会が今月は金曜日ですよとこの先生はよくもアッシがいつも香港研究会のある木曜日は藪用で塞がっていて他の日ならつて逃げ口上を好く覚えていると感心していたが今回の発表者は中文大の文化人類学部にリサーチアシスタントとして在籍している同志社大社会学PhDのＫ氏が香港の「都市住宅風景の多面性」という恰も『東京人』的な内容で珍しく参加す。Ｋ氏のきちんと体系ずいた都市住宅の報告は勉強嫌いのアッシでも成程と合点がいくもので殊に北角の公共住宅が50年代にしては高級だったものが当時の北角のリトル上海の住人には住める物件で当時のハウジングオーソイティもちゃんとマーケティングして地域にあった需要に対する供給をしていたという話に辿り着く。某Ｔ塾のＭ氏の撮影した住宅写真も充実の極み。きちんとした仕事をしている人に敬服す。ふとビクトリア市についてホームページ上にコーナーを作ろうかと思い立つ。
12月21日（木）中環の赤十字にて献血、現在の献血站はバスの二階席から丸見えにて献血者のプライバシーに欠け改善を要求すべく新聞に投書か、これは。ここの椅子全体が背後に倒れる椅子がシンプルでありながらかなり坐り心地よくしかも洗練されたデザインでいつも採血しながら仮寝してしまふのだが献血センタにとっては大切なお客様に坐っていただく椅子であり流石にいい品を選んでいるといつもおもひ今日つひにそれがフランスのアウトドア＆インテリアのLafumaの製品であると知る、納得、できれば自分もゲットしたい椅子。かれこれ八年使いしFilofaxのオーガナイザ、僅か一年で製造中止となったイグアナの皮で鮮烈な赤色、は金具が閉まり悪くなりSwindon書店に修理に出すべく、かつていずれこんな日が来ようと購入せしPortlandなる種のこれもやはり赤色のオーガナイザの出番となる。ヒッチコックの『知りすぎた男』、それに珍しくスカッと爽やかで『Taxi』のVCD、職場のMacG4がVCD機能もあるってわけでStingとPrinceのVCDを購う。Saint EmillionはChateau La Fleur Saint Georges 1998 期待より美味なハーフボディでハヤシライス。Ｍ氏と来春のＮ紙でのエッセイの件骨格から話が始まる。先日の香港マイルはChildの騎乗するSunlineが一着になったが怠慢なレース展開で最後の直線で蝦の追撃だけで盛り上がったがSunlineと同じ豪州から出場のSheeham（馬はAdam）がChildと結託して走路妨害の八百長疑惑、私が買ったWhite騎乗の新威王は正にこの妨害を受けて挫折……。如月小春逝去、80年代前半の筑紫哲也『朝ジャ』の時代を彷彿、子育てで最近はあまり目立たなかったが如月小春のような劇作家、演出家こそ寧ろこれからテレビとかで「すら」向田邦子のようなことになったのではないか、と。
12月20日（水）ほぼ終日G4へのデータ転送。仕事関係の忘年会、銅鑼灣道の國泰酒店は煌庭閣にて。二次会でビクトリア公園内のプールに隣接したバー、バルコニーがプールに面してナイスな空間。夏だとプールが証明できれいだが冬は無慈悲な空プール。ふと思ったのだが、銀行の暗証番号に使っている番号はこれは自分でもいったい何の番号か忘れた……ずいぶん前のどこでかの電話番号だったはず、それでコンピュータのパスワードにしている8文字はこれが思いだしてみればもう14、5年前だが富士通のオアシスからTownsなる電脳に乗りかえ、まだパソコン通信といわれていたがニフティに入って、アメリカのCompuserveに接続した時、そこから送られてきたパスワードだった事をふと思いだす。Compuserveなんてまだあるのかと疑ひ網上でさがせば地味にニフティのように存続していて、しかもICQかインスタントメッセンジャーのようなこともしていた。Compuserve、当時はまだWWWなんてない地味な文字通信の時代だったがそれがいかにもコンピュータっぽくて文字列で何処からか応えが返ってくるのが快感だった。それでテレックスのようなファクスを送ったりフライトの予約とかして楽しんでいた懐かしい時代。あの当時、パソ通をしてるなどかなりオタクだ陰気だと嗤われたもの。
12月19日（火）仕事場で使っていたのがMacのG3でまだ動きはするがもう4年も前の機種でいつ壊れてもおかしくない状況、PCへの移行など真っ平御免、G4を購入となるが、さすがにCubeは洒落すぎ、普通のG4で400mhz、これがもはやHK$10,000と。あつてはあれやこれやと用意したソフトももはやOffice2001とEGWord程度。Ｙ氏と蘭桂坊喜八、焼酎は神の河、むかし子供の頃は酒飲み達が何故に赤貝の三四切れだけを肴にあそこまで酒を飲めるのか不思議だったが、この齢になると此処でも肴は赤貝とみる貝、生烏賊のお造りに茄子田楽、それで焼酎を二人で一本空けてしまんだから……合鴨ロースなんて品もあったが当然食わず。喜八、店員は温情あるがちょいと板前氏たちに愛想が欠けるか、しかし愛想ばかりで仕事が悪いよりずっとマシかと納得。Ｙ氏、バンコクのジム=トンプソンにて私にとバンダナを探してくれたそうな。Ｙ氏にロンドンのソーホーで買ったまま一度しか被らずの革帽子、日本橋は伊場仙の扇子を贈答。
12月18日（月）曇。新聞で「養鶏場の火事で雛が焼鳥になってしまった」という、そう書くとそれほど面白みがないのだが「鶏場大火逾萬小鶏變燒鶏」と中文となると急にsounds goodで可笑しい。昨日の翡園酒家を悪く書いたが今日の昼に九龍酒店地下の環龍閣なる料理屋で飲茶してみて翡園とどっこいどっこいの味に翡園の評価は相対的に上る。環龍閣、こんな油っこい伊麺、あたしゃ今まで食べたことないよ、まったく。美輪明宏先生の『紫の履歴書』紀伊国屋より届きちょっと読み始めたら美輪先生の霊気か文章力か執念かすーっと本の中に入ってしまい、こんなの大宰か20年近く前にエンデの『モモ』を読んだ時みないな感じで、食事するのもシャワーするのも惜しいくらい。長崎に原爆が落ちた時の様子など聖書の黙示録のよう、それにしても疎開先の長崎市郊外の家の縁側、万寿姫の絵を描いていて出来上がりを確かめるために椅子をずらして立ち上がり後ろへ二、三歩下がった途端に爆弾が炸けたとは、まさに運命か。美輪先生の実家が長崎の裕福なカフエや料亭を営む家庭に生まれ、近所の劇場では阪妻、宮城まり子から長谷川一夫の鷺娘、入江たか子の椿姫に三浦環で蝶々夫人、四谷文子のカルメン、先代の河原崎国太郎の吃又の女房に鳴神の雲絶間姫を子どもの時に見ているとは、東京でだって稀なこと。戦争が終わって僅か10才の少年がしたことは丸刈りの頭を「戦争が終わった証拠に」と、おかっぱにいの一番に伸ばし始めたとは『暮らしの手帖』の花森先生より早かった、か。状況後の逸話についてはこれまでもいろいろ見聞きしており驚きこそせず一気に読了す。
12月17日（日）晴。沙田競馬場にて香港国際レース。朝、フジヤマ館長と尖沙咀九龍ホテルにて待ちあわせ翡園酒家にて飲茶。日曜朝の尖沙咀など意外と飲茶なく翡園となったが観光客の数といい「お願いだからヤメテっ！」と割りたくなる緑の皿と茶色のお椀、味についてはマクドを評するが如き事はしまひ。ホンハム站より験を担いでKCRは一等車。国際レースは終わってみれば順当に優秀な馬が入っているのだが勝てぬ。三班の更歓笑（All Thrills Too）はかなり成長が期待できる豪州三才馬、前晩42倍が8倍にまであがる。昨季で香港を引退と言っておいて今季美味しい季節労働者の馬佳善はこの日が最終戦、超級無敵（Super Molly）にて第二レース一番人気で一位。香港スプリント（G3）1000mは特区之星に期待したが豪州からのFalvelonに勝たれ、HK$6,000萬のかかった3T首關の第4レースは32倍のEspressoがまたも馬佳善、香港マイル（G1）は蝦に期待されたものの蝦の直線追い込みを躱して新西蘭のSunlineが鼻差、この日最高の熱戦。香港Vase（G1）は香港から原居民、奔騰（Oliental Express）と偶像が参戦したが原居民もすでに往年の力はなく英国からのDaliadourは格が違い優勝。香港カップ（G1）は天才Dettoriの騎乗にてFantastic Lightが快勝、Emirates航空がスポンサーの世界巡演レースではFantastic Lightがこの優勝にて総合優勝、UAE（アラブ首長国連邦）の馬がそのレースを制したことになる。Dottoriはこの春のセスナ墜落でも命をトリトメタ強運はさすがに格が違う天才の華か、この日も本当に嬉しかったのだろう、この世界巡演二年連続制覇でお得意のDottoriジャンプを二度も見せる（昨年は紐約競馬場にて）。七万人の入場の沙田、混乱を避けて第9レースを観戦せず帰途に。競馬場からKCRにて紅碪ｶ駅まで来、103番の隧道バスを待ちし折バス専用路線に突如白バイ入りきてそのあと香港特区エンブレムをつけしBMW、それに随行するAMナンバーの車、「貴様らモスクワの街を走り抜けるnomenklatura、共産党幹部か！」の如く急ぎ馳せ去る。当然のことながら沙田の競馬場にて香港カップの授賞式に参加せし行政長官董建華君とその随員共。たかだか人口600万程度の地方「自治」体ということもオコガマシイ地方行政体の首長、日本で云えば北海道知事程度にここまでの特権あろうか、中国ならではの特権か。翌18日の新聞には董君この晩、孫娘ら家族総出でモスクワサーカスの香港公演だかの鑑賞、それが専用BMWを使わず一家でマイクロバスをチャーターと「蘋果日報すら」美談を紹介していたが実はその美談のかげにサーカスに間に合わそうとこの爆走あり。わかめかぶと山芋の小皿、おでんで越後の越の誉。月本裕氏が『ソトコト』の取材にて来港、参観とこの日フジヤマ館長の掲示板にて知る。『噂の真相』11月号を遅れて読む。
12月16日（土）快晴。総勢12名の予定が校正や学期末の通信簿から痛飲、度忘れまで総ゆる事情でＺ嬢はじめ6名にて大埔から大尾督まで行き八仙嶺から黄嶺、屏風山を経て、鶴藪水塘に出る予定が屏風山から平頂峠に出てしまひ南涌郊遊徑、これが意外と好い徑にて、新屋仔の集落に出て沙頭角路。バスで粉嶺に出て粉嶺中心のどうでも良い新明苑海鮮酒家なる料理屋にて反省にとビール、小皿料理。かういふ郊外駅のそばのどうでも良い料理屋、朝は点心で始まり晩餐までずつと開いている、閉じるのはせめて晩方前の賄ひ飯の小一時間だけの店、味は大したことないがなんで温かいモテナシの店が多いものかと感心。だからこそ近所の連中が朝の飲茶から宴会まで贔屓にするのだろうが。KCRとMTRを乗り継ぎ上環、生記にて魚南鶏粥、美味いが最近は粥はここまでコクがあつていいものかとおもひもして病で萎えた身には粥といふがこんなくどい粥は病人には喰へまひ。唯靈氏が評じておつた珍珍なる粥専家を蘇杭街にて場所確認（すでに終業時間）、ここの油條は殊に美味いそうな。
12月15日（金）競馬好きのＦ氏は日曜日の香港国際カップは武豊でいく、と。そりやさうおもつても当然、水曜日の国際騎手に武豊が出ていれば当然、香港国際カップに出て当然と。昨年も蝦名騎手が来港していたのだし。しかし日本脳炎だかの検疫の関係で香港馬がジャパンカップに出なかつたように日本馬も参戦なし。少し日曜日の競馬の予習。蘋果日報にて敬愛する尊子の一コマ風刺漫画、合州国大統領選、鼻の差でブッシュが当選を、巨大な鼻二つのレースでゴールにて僅かに鼻毛が伸びていたブッシュが鼻毛が先にゴールに着き勝利、と。Erykah Baduの新譜 mama's gun が発売になったので初作 Baduizmとライブの三枚、コルトレーンでチチチェリーの入ったマッコイタイナー、エリヴィンジョーンズでのカルテットと "Stellar Regions" を品ぞろえは悪いし陳列も拙いが温情を感じる香港レコオドにて購入。
12月14日（木）佐敦の三星カレー、あっさりと地味に素材と香辛料だけで勝負、コクがなく美味。それにしても客は閑散としており、あのままでは廃業の恐れありと本HPにも三星カレーの宣伝を掲載す。
12月13日（水）雨、摂氏14度ノ厳冬。網上で「知っている人は絶対いないような気がするが、10年ぐらい前に阿Ｑというバンドがあった」「メジャーデビューはしていたがライブハウスめぐりをしていて消えてしまったような……」「横浜のビブレにあったライブハウスにも出ていた」「当時では邪道とも言える、バンドでのダンスミュージックで「ダンスはサイレンの彼方」というような曲を持っていたと思う。（曲名はあやふやだが歌える）」「阿Ｑのアルバムを持っている人は是非譲ってくださいな」というサイトを発見。阿Ｑが消えて10年たってもまだ追憶にあるとは。摩理臣山のプールは温水が意外と温かし。明走会忘年会。
12月12日（火）雨。午後寒波。蘋果速銷（Admart）が創業16ヶ月にて廃業、香港では網上購買と車でのデリバリーは成立せず、か、Admartは不要だがAdmartの誕生が百佳と恵康の二大超級市塲の安定独占に緊張感をもたらし市場を活性化させたことだけでもジミー黎がHK$3,600万拠出しただけの成果はあった、か。無線台の看板ニュース記者李○靜が逝去。天安門事件後に北京政府に睨まれた記者の一人、本人信念を曲げずその後も李鵬への取材は良心的拒否を貫く。週間香港Ｋ氏と銅鑼湾の Go Go Bar……というとマニラかバンコクの響きだが、ここはいわゆる喫茶店ノリでちょっとした軽食を出す店でビールとワイン程度ならある、というイマイチよくわからないが所謂フツーの店、しかもちょっと知的なニューアカ（懐かしい言葉）風で、チックコリアとかビル=エバンズが流れ、ロランバルト、馬体湯、ドゥルーズ＆ガダリ、レヴィストロースといったニューアカ仏系の哲学書が並び、みすず書房。よくわからないコンセプトだが、友人が知人のために開いた店と思えば納得。不味くはないがHK$88は高い日式チキンカレーを食し、94年の勃牙利産シャルダニーなど飲む。Rentが安くなるとこういう店が銅鑼湾の裏通りで外を眺めるロケーションにできるものかと感慨。Ｋ氏と二人でHK$600とこの店では超消費額。馬体湯……なかなかいい漢字名だバタイユ『エロティシズム』よりキリスト教について「何ものも考慮にいれない愛の可能性」「神の中に見出された連続性は儀式の錯乱で調整された暴力をこえて打算のない無我夢中の信者の愛をその二重性の作用に従って呼び入れた」「神性の連続性が変形された人たちは神の内で互いに愛に向って高められた」「キリスト教は遂にこの利己的な非連続性の世界を愛が抱きかかえる連続性の王国に戻す希望を捨てなかった」そうな。
12月11日（月）曇夜半雨強シ。余若薇は順当に当選、民主派と中道左派の強い港島区だけに民建聯は一議席喪失、今回は中銀や京系企業も組織票はあまり動かさず、か。Ｄ嬢に勧められしは佐敦の三星というカレー屋、佐敦に夜藪用あり三星を捜し散歩するが見つからず藪用の時間となり用を済ませ三星恋し、麥文記麺家にて姜葱撈麺と油菜、ここの姜葱撈麺も美味いが何故かここの油菜は格別、油がいいのは当然として今晩、この店の油菜は野菜はアルデンテ、蛎ソースはかぎりなく少量、それに油が熱々であることを知る、このアルデンテ＆熱々油こそ秘訣、感心して麥文記を出で佐敦のMTR站へと歩くと麥文記の二軒隣りに三星カレー屋を発見、これまで何度麥文記や隣家の義順牛乳プリンに足を運び、このカレー屋を訪れず、か。『香港街道地方指南』2001年版売りだされ購入、この新年度版が発売になるともう年の瀬、新界の「開発」は毎年増頁、この版も落馬洲、大埔カウ、錦田など六地域が新参。
12月10日（日）快晴。立法議会、共狗程介南の醜聞による当選後の辞任での港島区補選あり投票。民建聯は毒にも薬にもならぬ鐘樹根を立てるが民建聯が当選しようとしまいと香港は北京の下で安定しているのだから民建聯に清く一票を授ける意味もなく羽仁五郎曰く通り大人は野党第一党に入れるのが筋で六號余若薇。Ｚ嬢と動物園でオラウータン見物を経てピークトラムにて山頂。山頂公園。トラムの山頂站周辺は雑踏なれど山頂公園ともなると弁えた人ばかり、狗たちと撓む。快い最高の冬の青空と温かさ、橋本『源氏』の総角、早蕨の巻読了。克頓道まで山を下り散歩しながら帰宅。靴磨きのついでに下駄箱の真鍮磨き、そのついでにベルトのタクルをメッキ磨きとベルト皮にミンクオイルで手入れ。上環の梨花苑、かつてバッハの無伴奏チェロ組曲の楽譜を購い、その足で梨花苑に行った際に卓につくなりバッハの無伴奏チェロ組曲がそれもカザルスの演奏で流れ始めたことがあったが、毎回音楽が意表を突く梨花苑、今回は店に着いた時にかかっていたのがイークグスでホテルカリフォルニア（笑）、まずはOBビールで喉を潤し眞露で牛タンとホルモンを肴に飲んでいたら流れ始めたのはELP、キョウビの若い人はELPと言われても知らぬだろうがエマーソン・レイク＆パーマーといえば70年代後半、ちょうどイエスがアイドルでピンクフロイドがポップスでピンクフロイドの「ザ・ウォール」がまだ新譜だった当時、ELPとか玄人好みのプログレだったわけだけど、なんでELPが香港の韓国料理屋で流れているのか、よく解らないが、とにかく梨花苑のBGMはつねに画期的なのである。ELPを聞きながら食す明太魚のチゲはシュールな世界。
12月9日（土）李光耀が反撃。自由だ民主だというなら私に反論せず北京で天安門で抗議活動してみろ、と。自分は一介の客人であって、香港になんら支配力のある人間じゃないので、自分に抗議しても無意味だ、と。蘋果日報の社説がそれなら香港に来ていちいち香港の論評叱咤をするな、と。もし香港の政治家がシンガポールで同じことをしたら貴様はどうする、香港が自由だから貴様がこうして言いたいことを言っても容されるのだ、と。自由の恩恵を知れ。尤も。ハッピーバレーの土曜午後競馬、毎年何か用事あり訪れず。昼前に中環で馬券購入。昼、Ｚ嬢と半島酒店のGaddis'sにて昼食。ロブスターの温サラダ初めて食す。Chateau Grand Moulin 1995って注文でLouis Latour 1998が出てきてコレならワイン無知の私だって知ってる。Gaddi's この料理屋の給仕の慇懃さはいつもながら見事。感心。給仕頭の気配り、老給仕の若い者への指導、いい意味での緊張感。受付の電話の音だけどうにかならぬものか。大嶼山にて大嶼山巴士が東涌線にて朝横転事故。週末の朝の郊外巴士、乗っていてもおかしくない時間にゾッとする。競馬の結果はついに簡厩舎の大埔之星がこのところ入賞を続けていたが快活谷の昼競馬という稀条件にて初勝利。大埔のＴ氏のため頼まれもせぬのに単勝と複勝を彼名義でHK$50ずつ購入しHK$235とする功績。今月の歌舞伎座は猿之助の右京に成田屋の奥方で「身替座禅」、この成田屋を都新聞批評子が「奇妙な化粧、誇張した演技はせず、なんともいえぬ滑稽味をただよわせる傑作」と絶賛とＨ君より便り。「髪結新三」でも大家さんで新境地の成田屋、次は、新之助の与三郎、お富には福助で成田屋の蝙蝠安を期待と、確かに。週刊香港『徒然』連載最後の原稿。
12月8日（金）ジョンレノン逝去20年。何故かこの日の記憶鮮明。吉田茂の国葬、浅間山荘事件等其の日の天気から何を為す迄覚えしは何故。茨城の筑波山に行楽し筑波山頂のユースホステルに一泊、土浦の駅前に出で確か日曜日の夕方、スポーツ新聞の大見出しで知りし弔報。渋谷にタワーレコオド開店しジョンレノンのイマジンがLPを購いしが丁度其の一年前の秋。ライオンの歯磨き粉ザクトライオン愛好せしもののあの煙草の図柄、煙草を吸わずザクト愛用の者にはいささか不快にてライオンにも図案再考をメールしたこともありしがザクトの新柄遂に市場にお目見えし新作は珈琲紅茶の図案とこれもイマイチながら煙草よりはマシか。網上行はBroadbandのデジタル回線インストールが為在宅。現状の56Kが1.5Mに速度倍増し快適なオンライン環境となりRealaudioにてJazzを堪能す。午後、ジョギング。克頓道より山頂に上り山頂公園にて12月とは思えぬ暖かな陽射しに芝で微睡。女王を頂く峰に寝ころびて。山頂道を下り独乙瑞西学校横の超級市塲Viva ItaliaにてGerostarのジェラートを購い、これが溶けぬうちにとベイカー道からチャタム径を下り梅道経由でリスクを負うといつも以上にペース上り帰宅。橋本『源氏』総角を読む。
12月7日（木）李光耀が中文大で栄誉博士号授与される。じつはちゃっかり我らが池田SGI大作チェンチェイも同席にて栄誉博士号授与されていた（8日辛うじて『信報』のみ報道あり知る）。創価大と中文大の蜜月の結果か、また中文大の図書館には池田先生の人間革命本が氾濫か。中文大も先週は加藤周一で今週が池田大作とお忙しい。どうせなら池田先生も先週の日本研究系のシンポジウムに招聘して加藤周一とバトルトワイヤルでデスマッチさせれば面白かったものを。李光耀は HK had developed a "penchant for protests and demonstrations" as if to prove that it was still as democratic as it was in the days of British rule. How is it possible that HK [people] were happier with their lot for decades under the rule of colonial governors than now? They accepted their subject status in a British colony. Now they seem less contented with their lot, then HK has a Chinese Cheif Executive, not a British governor. 英国統治時代が今から比べてどれほど幸せだったのか、よく考えてみろ、なにも違わないだろうがっ！ということだが、ちょっと気になったのはSCMPのこの一面記事、見出しは HK people 'happier under British rule' でこれは奇を衒いすぎ、誤解されるし、こういうことするから北京に睨まれる。
12月6日（水）インターネット古本屋で評判の杉並北尾堂のサイトを覗く、取り扱い書籍の中に『月光』（東京デカド社）のバックナンバーがあり、あの月刊誌を仙台は八重洲書房にて購買していた頃が1984年と彷彿す。ここの書籍一覧から美輪明宏の『紫の履歴書』を読もうと思い忘れていたことを思いだし紀伊国屋に注文。香港特区旅券が来春からEUで査証freeになることが決定、特区旅券は香港永久居民であれば中国公民も可とあったので調べたが案の定「中国公民」以外は不可。Chinese citizens with the right of abode (ROA) in the Hong Kong Special Administrative Region and holding Hong Kong permanent identity cards, whether or not they are holders of the "British National (Overseas) passport "or" Hong Kong Certificate of Identity" or other travel documents, are eligible to apply for the HKSAR passport. だそうで、返還前にあれだけの騒動で英国（海外）旅券を取得した輩にも「ほら、中国香港の旅券のほうがいいでしょう、どうぞ申請しなさい」というわけ。そこで問題は Am I a Chinese citizen? となるのだが、その規定は In general, you may have Chinese nationality if you are a Hong Kong resident of Chinese descent and born in Hong Kong or other parts of China（台湾含む……笑）, not with standing that you hold, or have held Hong Kong British Dependent Territories Citizen passport, British National (Overseas) passport; or any other foreign passport. だそうで、親が中国籍である者までを対象としていた。北京政府で89年の天安門事件のあとから97年の返還の頃に外交部の発言人をしていた傳沈國、香港返還の際も江澤民の随行をしていたが、それ以来顔を見ないと思っていたら出世していて中国常駐国連副代表（つまり国連公使くらいか）だったそうで、これが外交部駐港特派員（特派員公署の代表）つまり北京から香港に駐在する外交部のトップに抜擢されるそうな。すごく生理的に嫌い……場末のスナックとかのカウンターで地味に飲んでいて絡んできそうな雰囲気。中文大学でシンガポールの李光耀に栄誉博士号を授与（7日）、抗議が沸騰しておりそのサイトに「校友」として署名、これも反社会的行為の行為障害か。沙田でダート、テレビ観戦。来週が国際盃週となり芝保養のため両馬場の芝使わず沙田でダートとなる珍しい晩、極品のみ快勝。灣仔波止場印の餃子で『古越龍山』の「國宴用」を飲むがやはり美味い。
12月5日（火） 東京は新宿のビデオ店爆発事件は爆弾も手製ながら「人を壊したかっ た」と少年。すでに今年の流行語大賞は慎吾ママの「おっはー！」と陳腐な「IT革命」と決まったそうだが「人を壊す」か、ちょっと遅かった。往年の大江、村上龍も現実には負ける、三島でいえば『午後の曳航』か。でもこれもなんか少年、完全に反響を計算してないか、このキャッチコピー。どうせなら「人を毀す」かな。8月に大分で一家6人を殺傷した少年は反社会的な行為を繰り返す「重症の行為障害」と診断され、鑑定では少年が日常的に見ていた「ホラー（恐怖）ビデオやテレビゲームや家庭環境が人格形成に影響を与えた」と。ホラービデオやテレビゲームや家庭環境で人格形成に影響を受けなかった私などは不感症でセンスがないということか。しかし反社会的な行為を繰り返すということでは私なども重度の行為障害になってしまう。森内閣改造、年始からの省庁再編は律令からの和語の響きが消え坐りの悪い四文字熟語ばかり、暴挙。Burberryより4年5年前に購ったブルゾン、袖のゴムが緩みお直しに出していたのが出来と連絡あり受け取る。ワトソンズワインにてBowmoreの12年モノ。中環の場外にて国際レース記念の入場券。12Mのバスにて明走会のＯさんのご主人と遭遇。ビビンバを食べながら鹿児島は小正醸造は小鶴というしっかりした麦焼酎があり、そのMellowed Kozuru磨なる焼酎、小鶴のクセがないのは残念。
12月4日（月）紀伊国屋より『三島由紀夫十代書簡集』（新潮社）、岩波文庫『源氏物語』全六冊、平野鏗二郎『東京風俗志』（ちくま学芸）と網野喜彦『中世再考』（講談社学術）届く。『十代書簡集』、文学に耽る公威君は『花ざかりの森』を上梓、時局に対して合州国との戦争は時期も遅く独乙ももうぢきへたばると宣い「教練がわたしたちには痛い」と呟きナチズムに傾倒する父親を嫌がり、書簡の相手である東文彦に対して「徴兵検査、いらつしやる必要はないこと、先づお慶び申し上げます」と。公威君の詩はいまいち好きになれないが「ナプキンの角するどしや冬薔薇（そうび）」という山口青邨に褒められたという俳句、本人は芥川ばりと嫌がるが三島らしい世界、あの美学をじつは本人こそが嫌っていたのでは、と。型の芸術、様式美、それにしても天才。旧聞に属すが合州国大統領選挙、いっそのこと直接選挙にしてしまえば州毎に選挙人を選ぶなんて面倒もないし、素直に得票数の多い候補が当選で明確という意見もあるが、やはり「合州国」であって州がunitedしてるという意味は州の決定というのが大きく、合州国の根幹にかかわる問題としてやはり州毎の決定ということは外せないのか。
12月3日（日）マカオ1/2に参加すれば気温湿度は長距離に良好なれど風強く殊に海峡を跨ぐ橋梁にて上り坂苦労し1時間50分を切り上手くいけば45分かと内心期待しが1時間52分50秒とそれでも自己最良。復路のフェリーが混むとの臆測あり波止場にて午後のフェリーの乗船券購いホテル戻りスパ＆サウナして海南島夫妻、登山家夫妻とFramingo'sにて昼食。プールサイドのレストランなど期待もせずと思えば誤算、良質なあっさりポルトガル料理でHK$78に前菜、主菜、デザートとも満足この上なく、しかも野菜メインで肉を巧く使いヘルシー。こちらが昼食終わる頃にフルマラソン組のキューバ氏、白酒君、Ｔ夫妻、Ｕ翁も現れ白酒君の発案にてMoet&Chandonを3本抜栓。手入れのいい南方風情の庭、池には鴨が遊び、シャンペンの栓は気持ちいい音をたて棕櫚の樹の向こうへと。フェリー波止場の免税にてジャックダニエルの限定版モノグラム、それにBowmoreでボルドーの赤葡萄酒樽で熟成させたという限定版クラレットを購う、どちらも免税だから買ってみるかという気になる所謂一流のお遊びモノ、後世残る酒ではないがそれを一時味わうも好し。香港戻。そごうで雑誌受領、『噂の真相』誌レイアウト組が大きくなり、だいたい雑誌がこういうことをすると質の低下は否定できず近い将来を危惧。海南島氏夫妻、海南島氏会社の香港事務所のＭ氏夫妻と銅鑼湾の大阪、ばってらは香港でもここが秀逸。Yiu Fungにて豆の類購い帰宅。
12月2日（土）マカオ。いつもの定石にてPiazzeria Toscanaにて昼食。明日レースだというのにまず白葡萄酒を1本。Hyatt Regencyに投宿。12月だというのに温かく游泳池。光をうまくとりいれたジム＆スパもマカオに住んでいたらメンバーになりたい好環境。くつろぎのコンセプトが見事。夜、関係者で一旦集合、ここ一週間禁酒の白酒君などを残しピノキオへ。マカオ10年目にして初のピノキオ、予想的中、二度と行くまひ。晃記餅家にで甘食。ホテルはサービスやコンセプト良好なれど交通量多く夜中までパトカーのサイレンがとぎれないのはマカオだからか、熟睡できず。
12月1日（金）Trailwalkerで慈善金を募ったが募金は自らのポリシーに反す、但し完走の折は美味い焼酎でもご祝儀にと約束の写真家Ｍ氏からジムにて大分は老松酒造の麦焼酎麹屋傳兵衛を頂戴す。