二月廿九日(火)雨。

二月廿八日(月)雨。R不動産K氏から連絡あり退勤で急いで半山区。値段は手ごろだが部屋の狭さ。K氏に勧められるまま近隣W閣を見るが昨日見た低層とは比べ物にならぬ物件。多少狭いが絶景。田中小実昌氏逝去。

二月廿七日(日)曇。レインクロウフォウドのカフェヴォーグ。コースランチ。秀逸。慣れる給仕の少年の粗作が気になる以外は評価。住宅探し。半山区もエスカレータ側へと物色続け驚くなかれ全景大厦(パラマウント)にて古き一〇〇〇sqfの物件にまで遭遇す。すっかり日も暮れ堅道は海燕飯店。週刊香港原稿。

二月廿六日(土)雨のち曇。鵝剄橋街市の恵記で羊南カリー飯。競馬場にて沙田の競馬。第三レースまで見てひとつも掠らず。夕方銅鑼湾の場外で見ると余健雄が第九レース千八百米泥地の百川匯河は一番人気は順当としても第六レース一六五〇米泥地で勁驃が十三倍にて一等。この二レースを二串三しており感動。余健雄未だ今季九勝目。日本人倶楽部にて県人会。あんこう鍋。予想より盛況。準備、受付、司会と疲労困憊。二千ドルほどの赤字、蓄えより捻出要。

二月廿五日(金)曇。tom.comで弐萬株以下の申請者は小切手返送の措置と新聞予想。各界からこの新株の公募方法について疑問の声多。

二月廿四日(木)寒雨。在君に勧められしオスカー・ワイルド『W・H氏の肖像』竝に『幸福な王子』を読了。燕と王子の関係が師弟関係か将又其れが同輩かと訳者は後書にて述べるが、これはやはり王子と燕という関係からして君臣主従関係とみるべき。それを権威的であるとか、その政治的な階級制では恋は成立せぬととるは間違い。この政治的関係だからこそ成立する恋沙汰もあろうに。昨日の不天候での競馬の疲れか。昨日のtom.comの株騒ぎ、五万株申請し余が言うもなんだが、いったいどれくらいの市民がこのtom.comがいったいどんな会社か知っての株購入か。しかもインターネットで見れば変哲なき情報提供会社に過ぎず、しかも中国造詣を売りにする事、国境や民族を超えることが美しきインターネットにあってtom.com北京を向き悲し哉。帰宅してヘンリー・ジェイムス『密林の野獣』。